先日、知り合いの経営者からこんな連絡が来ました。「決算が終わった後に税理士から『もっと早く言ってくれれば300万円は節税できたのに』って言われてさ」と。
悔しそうな声が目に浮かぶようでした。でもこれ、決して珍しい話ではないんです。
社長の7割が気づいていない、毎年の「もったいない」
中小企業の社長の約7割が、平均300万円以上の節税余地を毎年放置しているというデータがあります。「税理士に任せているから大丈夫」と思っていても、税理士は聞かれなければ積極的に提案しないケースも多い。
問題は知識の差ではなく、「確認する習慣があるかどうか」です。
そこで今日は、5分でできるシンプルな自己診断をお伝えします。チェックするのはたった3項目。1つでもNoがあれば、今すぐ動けるサインです。
チェック①:役員報酬を直近1年で見直しましたか?
役員報酬は、毎期の決算から3か月以内に変更しなければ、原則として1年間固定です。「去年と同じでいいや」と惰性で据え置いている社長が多いのですが、これが大きな機会損失になることがあります。
報酬が高すぎると所得税・住民税の負担が重くなり、低すぎると法人税が増える。この「バランスポイント」は、会社の利益水準が変わるたびに動きます。
年商や利益が前年比で10%以上変動したなら、役員報酬の見直しを検討するタイミングです。税理士に「今期の着地見込みで最適な報酬額はいくら?」と聞いてみるだけで、数十万〜数百万円の差が生まれることがあります。
チェック②:生命保険を法人契約にしていますか?
個人で生命保険に加入している社長は多いのですが、それを法人契約に切り替えるだけで節税効果が生まれる場合があります。
たとえば、年間保険料100万円の保険を法人契約にすると、その一部が損金として計上できます。個人で払えば税引き後の手取りからの支出ですが、法人契約なら税引き前の利益から払える。実効税率が30%なら、30万円分の節税効果になる計算です。
ただし、保険の種類や契約形態によって損金算入のルールが異なります。「法人保険=節税」と短絡的に考えると失敗するので、契約前に必ず税理士に確認するのが鉄則です。
チェック③:小規模企業共済に加入していますか?
これを知らずにいる社長がいたら、今すぐ手続きしてほしいくらいの制度です。
小規模企業共済は、中小企業の経営者向けの退職金積立制度。毎月1,000円〜70,000円の掛金を積み立てられて、その全額が所得控除になります。
月70,000円フルで使えば年間84万円の掛金がすべて所得控除です。所得税・住民税の合算実効税率が40%なら年間約33万円の節税効果になり、10年続ければ330万円以上になる計算です。
しかも積み立てたお金は廃業や退職のタイミングで退職所得として受け取れるため、受取時の税負担も軽い。使わない理由がほとんどない、珍しい制度です。
3つのNoが、節税の出発点
今日のチェックをまとめます。
- 役員報酬:直近1年で利益水準に合わせて見直したか?
- 法人保険:個人契約の保険を法人に切り替えているか?
- 小規模企業共済:毎月最大7万円の所得控除枠を使い切っているか?
3つ全部Yesなら、基本的な節税の土台はできています。1つでもNoなら、今期中に動けるチャンスがある。
具体的にいくら節税できるかは、会社の利益水準と実効税率によって変わります。「自分の場合はいくらか?」が気になったら、試算だけでも税理士に頼んでみてください。決算が終わってから後悔するより、決算の3か月前に動くのが節税の基本です。今日のチェックを、ぜひ行動のきっかけにしてみてください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。