「うちは個人のふるさと納税はやってるんですが、法人でもできるって本当ですか?」

先日、製造業を営む年商3億円の社長からこんな質問を受けました。知っている人には常識ですが、意外と見逃されているのが「企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)」という制度です。

個人のふるさと納税は「2,000円の負担で返礼品がもらえる」という認知が広がっていますよね。でも法人版は、もっとインパクトが大きい。寄付額の約90%が税金から控除されるというのが、最大のポイントです。

100万円寄付して、実質10万円の負担

たとえば100万円を企業版ふるさと納税で寄付した場合、実質的な手出しは約10万円になります。

なぜそこまで戻るのか。仕組みはこうです。まず、寄付金は全額「損金算入」されるので、法人税の課税対象となる利益が減ります。さらに、法人税・法人住民税・法人事業税からの「税額控除」が加わる。この二重の恩恵によって、税負担の軽減効果が積み上がっていくわけです。

個人のふるさと納税は「実質2,000円」ですが、法人版は「実質10%程度の負担」。スケールが全然違います。

最低10万円から、中小企業でも使える

「制度の名前は知っているけど、大企業向けでしょ?」と思っている社長も多いです。でも、最低寄付額は10万円から。中小企業でも十分に活用できる制度です。

ただし、個人のふるさと納税と違って返礼品はありません。企業が地方自治体の特定プロジェクト(地域活性化・教育・環境など)を支援するという趣旨の制度なので、純粋に「節税 × 社会貢献」として位置づけるものです。

「返礼品がないなら意味ない」と感じるかもしれませんが、90%の税金が戻るなら、返礼品なんて不要ですよね。

6月は「計画を立てる」ベストタイミング

今がちょうど6月。実はこのタイミング、企業版ふるさと納税の活用計画を立てるのに最適な時期です。

上半期の業績がある程度見えてきた段階で、今期の利益予測を立てる。利益がどれくらい出そうか、どの程度の税額になりそうかを確認したうえで「いくら寄付できるか」を設計できるからです。

年末・決算間際に慌てて動くのではなく、今の段階でシミュレーションしておく。それだけで、節税効果を最大化できる可能性がぐっと高まります。

「法人」と「個人」、2つの枠をフル活用する

社長として見落としてほしくないのが、法人と個人で別々に枠がある点です。

企業版ふるさと納税は法人としての寄付。一方、社長個人でも通常のふるさと納税が使えます。年収に応じた限度額まで、個人の所得税・住民税から控除されます。

  • 法人口座からの寄付 → 法人税等から最大90%控除
  • 社長個人の口座からの寄付 → 所得税・住民税から控除

この2枠を同時に活用することで、会社全体での節税インパクトはさらに大きくなります。どちらか片方だけやっている社長は、もう一方もぜひ検討してみてください。

一点だけ、重要な注意

企業版ふるさと納税は「地方自治体への寄付」が前提です。寄付先の自治体から、自社に対して経済的な見返りを受けることは禁止されています。たとえば、寄付した自治体の事業に自社が参加して直接利益を得るような構造は認められません。

あくまでも「社会貢献として寄付し、税制優遇を受ける」という趣旨を守ることが大切です。活用金額の上限や控除の詳細は会社の規模・税額によって変わるため、税理士と一緒にシミュレーションするのが確実です。


6月の今、来期の決算をイメージしながら「企業版ふるさと納税、使えるかな?」と試算してみてください。まだ活用したことがないなら、今期中に一度、顧問税理士に「企業版ふるさと納税を検討したい」と一言伝えてみることをおすすめします。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。