先日、顧問先の社長から「税理士を変えたら初年度で150万円節税できた」という話を聞きました。驚いて理由を聞いてみると、答えはシンプルで、「これまで経費にできるものをいくつか見落としていた」だけだったそうです。

税法は毎年少しずつ変わります。3年前の常識が今は非常識になっていることも珍しくなく、「ずっとこのやり方だから大丈夫」という思い込みが、じわじわと手取りを削り続けているケースがよくあります。

今回は、中小企業の社長がよく見落としている経費のポイントを5つお伝えします。特に上位3つは合わせると年間200万円以上の節税につながる可能性がありますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

5位・4位:手軽なのに意外と見落とされている2つ

まず取り組みやすいところから。セミナー参加費や書籍代は、業務に関係するものであれば全額経費に落とせます。当たり前に聞こえますが、「個人で払ったから」とそのままにしている社長が意外に多いです。年間でまとめると10〜20万円になることも。個人払いのものを法人カードに切り替えるだけで変わります。

同じく見落とされがちなのが、自宅兼事務所の按分です。自宅の一室を仕事に使っているなら、面積や利用時間の割合に応じて家賃・光熱費を経費にできます。賃貸なら総額の3〜4割程度が経費になることも多く、年間30〜50万円のインパクトになる場合もあります。

3位:2024年に変わった飲食費のルール、知っていますか?

交際費の飲食費はかつて「1人5,000円以下」が全額損金になるラインでした。それが2024年4月から**「1人10,000円以下」に引き上げ**られています。

これは地味に大きな変化です。ちょっとした接待や取引先との食事なら、1人1万円以内に収まることが多い。月に3回使うだけで、年間36万円が新たに経費計上できる計算になります。

ただし、領収書に参加人数・氏名・目的を記載することが要件です。「業務関連の飲食」として認められるためのルールなので、記録の習慣をつけておきましょう。2024年から変わったのに古いルールのままで動いている会社は、まだかなり多い印象です。

2位:サブスクを棚卸しすると年60万円超になることも

スマートフォン、法人用PC、クラウドストレージ、会計ソフト、ChatGPTなどのAIツール——業務で使っているものはすべて経費にできます。

問題は、個人払いのまま放置されているケースが非常に多いこと。月々1,000円や2,000円のサービスも、10本束ねると月2万円、年24万円になります。そこにスマホの通信費や法人カードの年会費なども合わせると、年60万円を超えることも珍しくありません。

一度すべてのサブスクを棚卸しして、業務利用しているものを法人口座・法人カードに切り替えてみてください。作業自体は半日もあれば終わります。それだけで相当の節税になります。

1位:役員社宅は「合法的な最強の節税」と言われる理由

インパクトが最も大きいにもかかわらず、実行している社長は少ない印象です。仕組みはシンプルです。

会社が賃貸物件を借り上げて、それを社長に「社宅」として貸し出す——社長個人が払う家賃は、国税庁の計算式で算出した「適正家賃」だけで良く、その額は実際の家賃の20〜30%程度になることが多いです。残りの70〜80%は法人の経費として計上できます。

たとえば月25万円の賃貸なら、社長の自己負担が月5万円程度で、残り20万円が経費。年間で240万円の経費増になります。しかも社長は手取りを減らさずに同じ家に住める。これが役員社宅が「最強の節税」と言われる理由です。

ただし、計算式は物件の規模・種類によって異なり、適用を誤ると給与として課税されるリスクがあります。必ず顧問税理士に試算してもらってから実行することをおすすめします。

今期中に動いてほしいこと

3位から1位の3つだけで、年間200万円を超える経費節減が現実として見えてきます。特に役員社宅は一度設定すれば毎年効き続けるので、早く始めるほど得です。

まだサブスクの棚卸しをしたことがない、役員社宅をまったく検討していないという方は、次の決算前に顧問税理士と「経費の見直し」というテーマで話してみてください。「節税したい」ではなく「経費の棚卸しをしたい」と伝えると、より具体的な提案が返ってきやすいですよ。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。