決算まであと2週間、という時期に「もう手の打ちようがない」と諦めている社長は少なくありません。

でも実は、残り数週間でも確実に使える節税策があります。知っているかどうかで、数十万円の差が生まれる話です。今日はそれをお伝えします。


製造業の社長が決算前に動いた話

先日、ある製造業を営む田中社長(仮名)からこんな話を聞きました。決算の2週間前、顧問税理士からこう言われたそうです。

「社長、30万円未満の備品でまだ必要なものはありませんか?今期中に買っておきましょう」

田中社長はすぐに動きました。現場スタッフが「あったら便利」と言っていたノートPC、古くなっていた複合機、消耗が激しかった工具類。バラバラに後回しにしていたものを、このタイミングでまとめて購入。総額は約150万円になりました。

結果として、法人税の負担が約37万円軽くなりました。決算2週間前の出来事です。


なぜ「30万円未満」がそんなに効くのか

通常、会社が備品を購入すると「減価償却」という処理をします。たとえば50万円のPCを買っても、その年に全額を経費にするのではなく、4〜5年にわたって少しずつ経費として計上していく仕組みです。

つまり、今期の節税効果はせいぜい10万円程度。残りは翌年以降にじわじわ効いてくるだけです。

ところが「少額減価償却資産の特例」という制度を使うと、1個あたり30万円未満の備品であれば、買った年に全額を一括で経費にできます。

田中社長のケースで言えば、150万円をまるごと今期の経費に落とせた。法人税率を25%とすると、150万円 × 25% = 37.5万円の節税、という計算になります。


使う前に知っておきたい3つのポイント

この特例、とても使い勝手がいいのですが、いくつか押さえておくべきことがあります。

まず「1個あたり30万円未満」という単位の考え方です。たとえば29万円のPCを5台買えば、合計145万円でも全額一括経費になります。ただし、1台30万円を超えた瞬間に対象外になります。セット販売などで金額が変わることもあるので、購入前に単価の確認が必須です。

次に、年間の上限が300万円までという点。一度に大量に購入しても、300万円を超えた分は通常の減価償却に戻ります。とはいえ中小企業の多くにとっては、十分な枠といえるでしょう。

そして最も大切なのが、この特例は「中小企業者等」が対象という条件です。資本金1億円以下の法人や個人事業主が基本的な対象ですが、大企業の子会社などは除外されるケースもあります。また、青色申告をしていることも条件のひとつです。

「うちは使えるのか?」と思ったら、まず顧問税理士に確認してから動くのが鉄則です。


決算前に「棚卸し」してみてください

この節税策を最大限活かすコツは、普段から「欲しいけど後回しにしている備品リスト」を作っておくことです。

決算前に慌てて考えても、現場の意見を拾い切れなかったり、納品が間に合わなかったりします。今期の決算が近い方は、今すぐ現場のスタッフに「不便に感じている道具はある?」と聞いてみてください。

経費になるものを後回しにするのは、ただの機会損失です。必要なものは、使える制度を使って賢く買う。これが節税の基本姿勢です。

PC・タブレット・プリンター・カメラ・工具・事務用品……29万円台で買えるものは意外とたくさんあります。「どうせ買うなら」という発想で、決算前の数週間を有効に使ってみてください。

今期の決算がまだ先の方も、今から備品の購入タイミングを意識しておくだけで、年間を通じた節税の精度がぐっと上がります。ぜひ顧問税理士と「決算前チェックリスト」を作っておくことをおすすめします。


※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。