「先生、もう決算まで2週間しかないんですけど、今から何かできますか?」

先日、年商1億円ほどの製造業を営む社長から、こんなSOSが届きました。毎年のことながら、決算が近づくと青ざめる経営者は後を絶ちません。でも安心してください。実は決算の直前でも、合法的に法人税を減らせる手は10個もあるんです。

今日はその全部を、使いやすい順にご紹介します。


まず押さえたい「即効性の高い3つ」

一番手っ取り早いのが、30万円未満の備品の購入です。中小企業であれば、1点あたり29万9,000円以下の備品は、買った期に全額経費として落とせます。パソコン、カメラ、オフィス家具など、どうせ近いうちに買い替えるつもりだったものがあるなら、今期中に動いておくのが賢明です。ただし年間合計300万円が上限なので、そこだけ注意を。

次に見落としがちなのが、従業員への決算賞与。「賞与は払ったときしか経費にならない」と思っている方も多いですが、実はそうではありません。決算日までに金額を確定させて全員に通知し、翌月末までに支払う、という条件を満たせば、未払いのまま当期の損金に算入できます。従業員の士気も上がり、節税にもなる、一石二鳥の施策です。

もう一つが短期前払費用。家賃、保険料、サービス利用料などを1年分まとめて前払いすることで、支払った期に全額経費にできます。「支払った=経費」という単純なルールではなく「継続して同じ処理をすること」が条件ですが、一度導入してしまえば毎年使えるので、仕組みとして組み込むのがおすすめです。


役員・経営者まわりで見直したい3つ

役員社宅は、知っているようで活用できていない会社が多い制度です。会社が社宅を借り上げ、役員に貸し出す形にすると、家賃のおよそ8割を会社の経費にすることができます。役員が個人で家賃を払っていると1円も経費になりませんが、スキームを整えるだけで節税額は年間数十万円規模になることも珍しくありません。

小規模企業共済も、使っていない経営者が多い制度のひとつです。役員報酬から最大月7万円、年間84万円を掛け金として拠出でき、その全額が所得控除の対象になります。法人税ではなく個人の所得税・住民税の節税になりますが、経営者の手取りを守るという意味では非常に有効です。まだ未加入なら、今すぐ申し込んでも今年分から控除が効きます。

出張日当の規程整備も、見逃しがちな節税ポイントです。旅費規程を作成して社内ルールを明文化することで、出張のたびに日当を支払え、それが全額会社の経費になります。日当は受け取った役員・社員側も原則非課税。会社・個人の双方にメリットがある仕組みです。「規程を作っていなかった」という会社は、今期中に整備しておくことを強くすすめます。


積み立て型の節税は「今すぐ入る」が正解

**経営セーフティ共済(倒産防止共済)**は、月額最大20万円・年間240万円まで掛け金の全額を損金にできる制度です。万が一取引先が倒産したときの備えという位置づけですが、節税効果が高く、解約時に掛け金がほぼ戻ってくるのも魅力です。ただし加入から40ヶ月未満での解約は元本割れするので、長期的な視点で活用してください。

また、この共済には前納制度があり、最大12ヶ月分を先払いして当期の損金に計上することもできます。決算直前に気づいても間に合うケースがあるので、顧問税理士に相談してみてください。


「損」を活かす発想も大切

倉庫の隅に眠っている売れない在庫はありませんか?不要在庫の除却は、処分したタイミングで損失として計上できます。どうせ売れないものなら、期末に整理して損金に変えてしまった方が賢明です。ただし除却の事実を記録として残しておくことが重要です。

保険の見直しも、決算前に一度確認しておきたいポイントです。法人向けの生命保険は商品によって損金算入の割合が異なります。現在加入している保険が最適な設計になっているか、今一度チェックしてみてください。


組み合わせると効果は数百万円規模に

これら10の施策をバラバラに使うのではなく、会社の状況に合わせて組み合わせることが大切です。年商1億円の会社でも、しっかり設計すれば年間数百万円単位の節税になるケースは決して珍しくありません。

「今から何かできますか?」と聞いてくれた冒頭の社長には、この中から6つの施策を組み合わせてご提案しました。決算前の2週間でも、動けば必ず結果は変わります。

今期の決算が近い方は、まず今日ご紹介した10項目を自社に当てはめて考えてみてください。そのうえで、具体的な適用条件や金額については、必ず顧問税理士と一緒に確認することをおすすめします。手を打つのは早ければ早いほど、選択肢が広がります。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。