先日、ある製造業の社長からこんな連絡が届きました。「来月が決算なんだけど、今から何かできることってある?」
正直に言います。決算の1〜2ヶ月前でも、やれることはたくさんあります。 むしろ「もう遅い」と諦めてそのまま申告してしまうのが、いちばんもったいないパターンです。
今回は、決算直前でも実行できる節税を10個まとめました。組み合わせ次第では、年商1億円規模の会社でも数百万円単位で税負担を減らせるケースがあります。ぜひ最後まで読んでみてください。
消耗品・備品をまとめ買いする
1つ目は、30万円未満の備品をこの時期にまとめて購入する方法です。中小企業の場合、1点あたり30万円未満の備品であれば、購入した期に全額を経費として落とせる特例があります(年間合計300万円まで)。
パソコン、デスク、応接セット、業務用ソフトウェアなど、「そのうち買おう」と後回しにしていたものがあれば、今期中に購入するだけで課税所得を圧縮できます。ただし、購入して「使用を開始した」ことが条件になるので、在庫に積んでおくだけではNGです。
決算賞与は「未払い」でも損金に落とせる
2つ目は、従業員への決算賞与です。「お金が出ていかないと経費にならない」と思っている方も多いのですが、決算賞与については例外があります。
決算日までに全従業員へ支給額を書面で通知し、かつ決算日から1ヶ月以内に実際に支払う予定であれば、未払いの状態でもその期の損金に算入できます。たとえば一人あたり10万円、従業員が20人いれば200万円の損金をつくれる計算です。社員のモチベーション向上にもつながる、一石二鳥の施策です。
1年分の費用を先払いして経費化する
3つ目は、短期前払費用の活用です。毎月払っている家賃や保険料、顧問料などを、1年分まとめて前払いすることで、今期の経費として計上できます。
たとえば月10万円の事務所家賃を12ヶ月分まとめて払えば、120万円をこの期の経費にできます。継続的に同じ処理をすることが条件なので、「今年だけ」という使い方はできません。毎年コンスタントに活用する前提で検討してみてください。
役員社宅で家賃の大部分を会社負担にする
4つ目は、役員社宅の導入です。会社が物件を借りて役員に転貸する形をとると、家賃の約80〜90%を会社の経費にできます。役員個人は残りの10〜20%だけを負担すればよく、実質的な手取りを増やしながら会社側でも節税できる仕組みです。
すでに賃貸で暮らしている役員がいれば、今からでも法人契約に切り替えることが可能なケースがあります。
共済制度をフル活用する
5つ目から7つ目は、共済制度の活用です。ここをまとめて押さえておくと、かなり大きな節税になります。
経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済) は、月最大20万円、年間240万円まで全額損金にできます。さらに、掛金を最大40ヶ月分まで前納することが可能で、一括で損金を積み上げられます。解約時には掛金が戻ってくるので、実質的には「損金に落とせる積立」と考えるとわかりやすいです。
小規模企業共済 は、役員個人の所得控除として使えます。月最大7万円、年間最大84万円を所得から差し引けるため、役員報酬が高い方ほど効果が大きくなります。
これら2つを組み合わせるだけで、年間300万円以上の損金・控除をつくれるケースもあります。
使っていない在庫は今期中に除却する
8つ目は、不良在庫・死蔵在庫の除却です。棚卸資産として帳簿に残っている在庫は資産扱いになりますが、実際にはもう使わないもの、売れないものを抱えたままにしているケースは少なくありません。
廃棄処分や除却処理をすることで、その在庫分を損失として計上できます。倉庫の整理にもなり、一石二鳥です。
出張日当の規程を整備しておく
9つ目は、旅費規程の整備です。会社が旅費規程を作成し、出張日当を定めると、その日当は会社側では経費になり、受け取った役員・社員側では所得税がかかりません。
日当の非課税枠を活用することで、実質的に税負担のない報酬を増やせます。規程がまだない会社は、今期中に整備しておくことを強くおすすめします。金額設定には業種・役職ごとの合理的な根拠が必要なので、顧問税理士と相談しながら作るのがベターです。
保険の見直しで損金を増やす
10つ目は、法人保険の見直しです。解約返戻率が高い時期に見直しを行うことで、解約返戻金を受け取りつつ今後の保険料を損金として計上する設計が可能なケースがあります。
保険は契約内容によって損金算入のルールが細かく異なり、2019年の税制改正以降は特に複雑になっています。「節税保険」をうたう商品には注意が必要ですが、適切に設計すれば有効な手段になります。必ず税理士と保険の専門家の両方に確認してから判断してください。
決算直前こそ、動く価値がある
10個を並べると多く見えますが、自社の状況に合うものを3〜4個組み合わせるだけでも、税負担は大きく変わります。
特に「経営セーフティ共済」「小規模企業共済」「決算賞与」の3つは、今日から動けば今期に間に合うケースがほとんどです。「来期こそやろう」と毎年思いながら後回しにしている社長は、ぜひ今すぐ顧問税理士に連絡してみてください。
旅費規程についても、まだ整備していないなら今期中に作っておくのがおすすめです。来期以降もずっと使える仕組みになります。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。