先日、ある製造業の社長からこんな相談を受けました。「幹部研修に30万円払ったんだけど、これって経費で落ちるんですか?」と。
結論から言うと、落とせます。ただし、なんでもかんでも研修費として計上できるわけではありません。税務調査で否認されるケースも意外と多いのが、この研修費という科目です。
研修費を経費にできる3つの条件
研修費を損金算入するために税務署がチェックするポイントは、大きく3つに絞られます。
ひとつ目は業務関連性です。今の事業や将来の事業展開に、その研修がどう役立つのかを説明できる必要があります。営業社員がマネジメント研修を受ける、経理担当者が税制改正セミナーに参加する、といった形で業務との結びつきが明確であれば問題ありません。
逆に、社長の趣味に近い内容や、事業内容とかけ離れた研修は経費性を疑われます。
ふたつ目は記録です。参加者名簿、研修内容がわかる資料、領収書、この3点セットは必ず保管しておいてください。「誰が」「何のために」「いくら払ったか」が後から説明できる状態にしておくことが重要です。
口頭で「研修に行った」というだけでは、税務調査で通用しません。
三つ目は金額の妥当性です。30万円という金額自体は、内容次第で十分に妥当な範囲に収まります。ただし、同業他社の相場や研修内容のボリュームと比べて明らかに高額な場合は、一部否認されるリスクがあります。
見積書や研修プログラムの詳細が残っていれば、この点はクリアしやすくなります。
実際にいくら浮くのか
利益800万円を超えている法人の場合、実効税率はおおむね34%前後です。研修費30万円を経費として計上できれば、単純計算で約10万円の税負担が軽減される計算になります。
「たかが10万円」と思うかもしれませんが、これを毎年積み重ねていくと決して小さな金額ではありません。しかも、社員のスキルアップという実利も同時に得られるわけですから、使わない手はないと私は思います。
注意しておきたいこと
一点だけ注意が必要なのは、研修と称した旅行や接待に近いものです。観光地での懇親会がメインで、研修は名目だけというケースは、税務調査で真っ先に狙われます。
研修の実態がきちんとあること、そしてそれを裏付ける資料が揃っていること。この2つが揃っていれば、30万円の研修費は安心して経費計上できます。
決算前にまとめて研修費を使おうとする社長も多いのですが、記録を残す習慣がないと、せっかくの経費が否認されかねません。参加者名簿と資料の保管、今日から始めてみてはいかがでしょうか。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。