先日、顧問先の社長からこんな相談を受けました。
「来期から役員報酬を上げようと思うんだけど、決算が終わってからでも間に合うよね?」
残念ながら、これがまさに社長たちが一番やってしまうミスなんです。今日は役員報酬の決め方でよくある勘違いを、影響の大きい順にお伝えします。
第3位 報酬を上げすぎて税負担が跳ね上がる
役員報酬を上げれば会社の利益は圧縮できますが、個人の所得税・住民税は累進で効いてきます。所得税45%、住民税10%を合わせると最大で55%が持っていかれる水準になります。
法人税の実効税率はおおむね30%前後ですから、会社に残すか個人に移すかは、この税率差を見ながら判断する必要があります。
「利益が出そうだから役員報酬を上げよう」という発想だけで決めてしまうと、法人税は減っても、それ以上に個人の手取りが減っているというケースは珍しくありません。社会保険料の負担増も忘れずに織り込んでおきたいところです。
第2位 厚生年金には上限があることを知らない
役員報酬をどれだけ上げても、厚生年金保険料の計算のもとになる標準報酬月額には上限があります。現在の上限は65万円で、これを超える部分には厚生年金保険料はかかりません。
一方で、健康保険には別の上限(標準報酬月額139万円)が設定されているため、「年金は上限に達しているから社会保険料はもう増えない」と思い込んでいると、健康保険料だけがじわじわ上がっているという事態になりがちです。
年金と健保は別物として、それぞれの上限を確認しておくと、報酬設計のときに無駄な思い込みを避けられます。
堂々の1位 期首から3ヶ月以内に確定させないといけない
そして一番多いミスがこれです。役員報酬(定期同額給与)は、事業年度が始まってから3ヶ月以内に金額を確定させる必要があります。
決算が終わって数字が固まってから「今期はいくらにしようか」とゆっくり考えている社長は少なくありませんが、それではもう遅いのです。3ヶ月を過ぎてから金額を変更すると、その変更後の増額分は損金として認められません。
つまり、会社としては経費に落ちないのに、個人としてはしっかり所得税・住民税がかかるという、一番損なパターンに陥ります。しかも変更できるのは原則年1回だけなので、「様子を見てから決めよう」という発想自体が制度と噛み合っていません。
業績が読みにくい年ほど、期首の早い段階、できれば決算月の翌月には次期の報酬額について税理士と相談を始めておくことをおすすめします。
まだ来期の役員報酬額を決算が終わってから決めるつもりでいたなら、このタイミングで一度、顧問税理士とスケジュールを確認しておくのがおすすめです。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。