先日、決算を1か月後に控えた社長から「今からできることはもうないですよね」と相談を受けました。
結論から言うと、1か月前ではほとんどの手が使えません。ですが3か月前であれば、まだ打てる手はたくさん残っています。今日は決算前に見直しておきたい定番のチェック項目を、優先順位をつけて整理してみます。
まず役員報酬の設計を振り返る
役員報酬は期首から3か月以内でないと変更できません。つまり決算間際にできることは「変更」ではなく「来期に向けた検証」です。
今期の業績を踏まえて、報酬額が高すぎて会社に利益が残りすぎていないか、逆に低すぎて個人の資金繰りを圧迫していないか。ここを決算前に確認しておくと、来期の期首でスムーズに見直しができます。
共済への加入は駆け込みでも間に合う
経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)は、年間最大240万円まで掛金を全額損金に算入できます。しかも加入した月から即座に月払い分を損金にできるため、決算月の直前でも間に合う数少ない手段です。
小規模企業共済は法人の損金にはなりませんが、社長個人の所得控除として効いてきます。会社と個人、両方の視点で検討する価値があります。
決算賞与と未払費用は要件がシビア
決算賞与は、支給額を全従業員に通知し、決算日の翌日から1か月以内に実際に支払うことが条件です。通知だけして支払いが翌期にずれ込むと、損金算入が認められません。
未払費用についても同様で、期末時点で債務が確定しているものに限られます。「とりあえず計上しておく」というやり方は税務調査で否認されるリスクが高いので、根拠資料を揃えておくことが欠かせません。
設備投資と不要資産の処分は期末が締切
中小企業の少額減価償却資産の特例(30万円未満、年間合計300万円まで)は、決算日までに実際に事業の用に供している必要があります。発注しただけ、納品待ちの状態では対象になりません。
不要になった在庫や設備を処分する場合も同じです。除却損を計上するには、決算日までに廃棄や売却を完了させ、廃棄証明などの記録を残しておく必要があります。年明けにまとめて片付けようと思っていたものがあれば、今のうちにリストアップしておくといいでしょう。
逆算すると、動くべきタイミングが見えてくる
こうして並べてみると、ほとんどの項目が「決算日を過ぎたら使えない」という共通点を持っています。だからこそ、3か月前という余裕のあるタイミングで一度棚卸しをしておくことが重要です。
1か月前になってから慌てて動こうとしても、通知や実行が間に合わず、結局は来期に持ち越すしかなくなります。
まだ決算まで時間があるなら、今のうちに顧問税理士と一緒に、上記の項目を一つずつ確認しておくのがおすすめです。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。