決算前にパソコンや事務機器をまとめ買いした社長から、こんな相談を受けたことがあります。「全部即時償却で経費に落としたのに、来年また税金の通知が来るんですか」。
法人税は確かに軽くなったはずなのに、なぜ別の税金の話が出てくるのか。答えは、その資産の買い方の中にあります。
償却資産税は「持っているだけ」でかかる税金
会社が機械や器具備品を保有していると、毎年1月1日時点の所有状況をもとに、市区町村から償却資産税が課されます。税率は評価額の1.4%です。
固定資産税の仲間なので、土地や建物だけの話だと思われがちですが、パソコン、コピー機、看板、工具なども対象に含まれます。課税標準額の合計が150万円未満なら免税点以下で課税されませんが、複数の資産を積み上げていくと、意外なタイミングで課税ラインを超えてしまいます。
20万円未満と30万円未満、実は扱いが違う
中小企業が使える少額資産の特例には、大きく分けて二つあります。
ひとつは、取得価額20万円未満の資産を3年間で均等に経費化する「一括償却資産」です。もうひとつは、中小企業者等が使える「少額減価償却資産の特例」で、30万円未満の資産を全額その年に即時償却できる制度です。
どちらも法人税を軽くする効果は似ていますが、償却資産税の扱いはまったく違います。一括償却資産として処理したものは、償却資産税の課税対象から外れます。一方、30万円未満の特例で即時償却した資産は、法人税の計算上は経費になっていても、償却資産税の申告対象には含まれてしまうのです。
具体例で見る差額
たとえば25万円のノートパソコンを10台、合計250万円分購入したとします。
少額減価償却資産の特例を使えば、法人税の計算上は購入年度に全額を経費にできて資金繰り的にはありがたい選択です。ただしこの250万円は、翌年の償却資産税の課税標準額にそのまま乗ってきます。免税点の150万円をゆうに超えるため、1.4%、単純計算で数万円規模の税負担が翌年以降も発生し続けます。
同じ買い物でも、価格を1台20万円未満に抑えて一括償却資産として処理していれば、この250万円は最初から償却資産税の計算に入りません。
注意しておきたいポイント
一括償却資産は3年間で均等償却するため、購入年度に全額を経費にはできません。単年度の利益を大きく圧縮したい決算なら、少額減価償却資産の特例のほうが向いている場面もあります。
つまりどちらが正解ということではなく、「今期の法人税だけを見るか、来期以降の償却資産税まで含めて見るか」という視点の違いです。台数が多い設備投資ほど、この差はじわじわ効いてきます。
決算前にまとめて備品を購入する予定があるなら、単価を20万円未満に抑えられないか、一度検討してみるのがおすすめです。1台あたりの価格設定を少し工夫するだけで、何年も続く税負担が変わってきます。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。