先日、ある社長から「ふるさと納税ってどこまでやっていいんですか?」という相談を受けました。

毎年楽しみにして返礼品を選んでいるとのことで、昨年は奮発して50万円以上を寄付したそうです。ところが確定申告を終えた後、税理士からひとこと。「控除しきれなかった分、自腹になってますよ」。

計算してみると、3万円以上が丸ごと損になっていました。「シミュレーターで計算したのに」と、その社長はため息をついていました。

上限を1円でも超えると、その分は全額自腹になる

ふるさと納税の「2,000円の自己負担だけで返礼品がもらえる」という仕組みは、控除上限額の範囲内で寄付した場合だけに成立します。

上限を超えた分は税控除の対象外になります。たとえば上限が47万円なのに50万円を寄付してしまうと、差額の3万円は純粋な出費です。返礼品は寄付額の30%相当が目安ですから、「9,000円の返礼品を3万円で購入した」のと同じことになります。

節税のつもりが、逆に損をしている。ふるさと納税でよくある落とし穴のひとつです。

6月の「住民税決定通知書」が上限額の答えを持っている

正確な上限額をどう把握するか。毎年6月に届く住民税決定通知書が、その答えを持っています。

この通知書には、前年の確定した所得・控除情報が載っています。ネットのシミュレーターは収入額だけを入力して概算を出すものが多いですが、この通知書をベースに計算すると、医療費控除や生命保険料控除なども加味された、実態に近い上限額が出せます。

年収1,000万円の方なら上限の目安は17〜18万円ほどになりますが、各種控除の額によってかなり変わります。「去年と同じくらいでいいだろう」という判断は危険です。毎年6月に数字を確認する習慣をつけることをおすすめします。

役員報酬を変えた翌年は、特に要注意

社長にとってとくに気をつけていただきたいのが、役員報酬を変更した翌年です。

たとえば月100万円から月80万円に報酬を下げた場合、年収が240万円減ります。当然、ふるさと納税の控除上限額も大きく下がります。それを知らずに前年と同じペースで寄付を続けると、超過分がそっくり損になってしまいます。

逆に報酬を上げた年は上限も増えますから、「もっと寄付できたのに機会損失だった」というケースも出てきます。どちらの方向に変えても、翌年のふるさと納税計画は一度必ず見直すのがルールです。

6月の通知書が届いたら、まずやること

住民税決定通知書が届いたら、捨てずに保管してください。そして担当の税理士に「今年のふるさと納税の上限額はいくらですか?」と確認する。これだけで、余計な損失をしっかり防ぐことができます。

大まかな流れを整理すると、6月に通知書を受け取ってその月のうちに税理士へ確認、7月以降に余裕を持って計画的に寄付、というのが理想的な進め方です。12月に慌てて駆け込むよりも、夏場に動いたほうが返礼品の選択肢も広がりますし、上限オーバーのリスクも大幅に減ります。

ふるさと納税は正しく使えば、実質2,000円で数万円相当の返礼品が手に入る、社長にとって活用しがいのある制度です。6月の通知書が届いたタイミングを逃さず、ぜひ一度税理士に確認してみてください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。