「もう決算まで3日しかないんですが、今からでも何かできることはありますか?」\n\n先日、3月下旬に届いたある社長のLINEです。製造業を営む年商3億円の会社で、顧問税理士もいるけれど、こういう”駆け込み相談”がこの時期は本当に多い。そしてこの問いに対して、「あります」と即答できる節税手法がちゃんと存在します。\n\nしかも合法で、要件さえ満たせば今日購入しても確実に効く。それが少額減価償却資産の特例です。\n\n## 「30万円未満」が切り札になる理由\n\n通常、パソコンや機械などの備品を購入すると、税務上は数年かけて少しずつ経費にする「減価償却」という処理をします。100万円の機材を買っても、その年に100万円全額が経費になるわけではなく、4〜5年かけて分割で経費化されていくのが原則です。\n\nところが、中小企業には例外があります。1点あたり30万円未満の備品は、購入した年に全額を経費として落とせるのです。これが少額減価償却資産の特例(租税特別措置法)で、年間合計300万円まで使えます。\n\n30万円未満のノートパソコンを3台、モニターを4台、複合機を1台——それぞれ1点ずつ30万円未満に収まっていれば、まとめ買いでも全額今期の経費になります。購入する品目の数に制限はありません。\n\n## 100万円分買うと、手取りはいくら変わる?\n\n実効税率が約22%の中小企業の場合、100万円の備品購入で約22万円の節税効果が生まれます。\n\n「思ったより少ない」と感じる方もいるかもしれません。でも、冷静に考えてみてください。来月や来期に買う予定だったパソコン、オフィスチェア、業務用タブレット——それらを今期中に購入するだけで22万円手元に残る計算です。新たに余分なお金を使うわけではなく、「買うタイミングを今に前倒しする」だけで節税になるのです。\n\nキャッシュを動かすタイミングを変えるだけで、22万円の差が生まれる。これが少額減価償却の本質です。\n\n## 決算日を1日でも過ぎたら、翌年まで待たされる\n\nここで絶対に押さえておきたいのが、タイムリミットです。\n\n3月31日決算の会社なら、3月31日中に実際に商品を「受け取っている」ことが条件。4月1日に届いたものは、どれだけ急いでも翌期の経費にしかなりません。1日の差が、22万円の差になります。\n\n「注文書を出しただけでいい?」という質問をよく受けますが、答えはNoです。税務上の原則は「引渡し日」基準。ネットで注文しても、配送が決算日をまたいだら今期の経費にはなりません。\n\n残り数日という状況であれば、即日受け取れる店頭購入か、翌日配達が確実な在庫ありの商品を選ぶ必要があります。「在庫確認→注文→翌日着」まで今日中に手配できるかどうか——この段取りが勝負です。\n\n## 「節税のための無駄遣い」が一番もったいない\n\nひとつ大事なことをお伝えしておきます。\n\n焦って「使わないものを買う」のは、絶対にやめてください。100万円の備品を買って22万円節税できても、裏を返せば78万円のキャッシュが出ていきます。「いつか使うかも」で大量購入すると、節税どころかキャッシュフローを悪化させます。\n\n本当に必要な備品・設備の購入を今期に前倒しする——これが大原則です。「来期の設備投資計画」と「今期の決算状況」を照らし合わせて、前倒しできるものを抽出する作業が、この時期の節税の本質です。\n\nなお、クレジットカード払いでも経費計上できますが、重要なのは支払日ではなく引渡し日です。カード払いでも、決算日までに実際に手元に届いていることが条件になります。\n\n---\n\n今この記事を読んでいるあなたが決算直前なら、まず「来期に買う予定だったもの」を5分でいいのでリストアップしてみてください。そのリストを税理士に見せて、今期中に動かせるものを確認する。それだけで数十万円の節税につながることは珍しくありません。\n\n「チャンスは今夜まで」というのは大げさに聞こえるかもしれませんが、決算日とは本当に、1日過ぎたら翌年まで待たされる締め切りです。今期の節税枠は、今期中にしか使えません。\n\n※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。
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