2月に入ると、3月決算の社長から「決算前に何かできることはありますか?」という相談がぐっと増えます。答えは「あります、でも今すぐ動かないと間に合いません」です。
節税は知識として持っているだけでは意味がありません。決算日前に実行してはじめて効果が出る。今回は、そんな「決算直前に使える節税チェック」を3つ、優先度の高い順にお伝えします。
30万円未満の備品は、今期中にまとめて買う
中小企業には「少額減価償却資産の特例」という制度があります。30万円未満の備品を購入した場合、通常の減価償却とは異なり、その全額を購入した期に一括で損金計上できる制度です。
年間300万円まで使えるので、パソコン・オフィス家具・業務用機器など「そろそろ買い替えようかな」と思っていたものがあれば、今が動くタイミングです。100万円分購入すれば、実効税率33%として約33万円の節税になります。
ただし対象は、青色申告法人で従業員500人以下の中小企業者等に限られます。一見シンプルな制度ですが、要件を確認した上で活用してください。
決算賞与は「通知だけ」でも損金に入れられる
「決算賞与を払えば節税になる」という話は多くの社長がご存知です。でも「決算日時点で未払いのままでも損金にできる」というルールは、意外と知られていません。
条件は2つだけです。①決算日までに各従業員へ支給額を個別に通知すること、②翌月末までに実際に支払うこと。この2つを満たせば、未払賞与として今期の損金に計上できます。
100万円の賞与であれば約33万円の節税効果。従業員のモチベーション向上と節税を同時に実現できる、実用性の高い手法です。
注意したいのは「全員への個別通知」という要件です。特定の役員・部署だけへの通知や、決算後にまとめて通知するのはNGとなります。決算日前に、一人ひとりに支給額を書面等で伝えておくことが必要です。
短期前払費用で、来期分の支出を今期に引き込む
3つの中でインパクトが一番大きいのが、短期前払費用の活用です。
来期分の費用であっても、決算日から1年以内に費用化されるものを決算前に支払えば、今期の損金に算入できるというルールです。対象になるのは、家賃・保険料・顧問料・会費など、継続的な役務提供契約に基づくもの。
月50万円の家賃を払っている会社なら、翌年度12ヶ月分の600万円を3月中に先払いすれば、600万円が今期の損金になります。節税効果は約200万円。規模によってはこれ一手だけで、決算の数字が大きく変わります。
ただし条件があります。毎期継続して同じ処理を行うこと。今期だけ使って翌期に止めることは認められません。また役務が翌期に均等に提供されることが前提なので、単発の費用や前払金的な性質のものとは区別が必要です。継続実施を前提に、導入を検討してください。
「決算日前に動く」ことが、すべての前提
3つを組み合わせれば、規模によっては300万円超の節税も十分に狙えます。ただし共通して言えるのは「決算日を過ぎたら使えない」ということ。賞与の通知も、備品の購入も、家賃の前払いも、すべて決算日前に完了している必要があります。
「決算が終わってから相談しよう」では遅いのです。今すぐ顧問税理士に連絡して、残りの期間でできることを確認してみてください。
決算まで1〜2ヶ月ある今なら、まだ間に合います。「今期中にやっておきたい節税、一緒に確認したい」の一言を、今日中に税理士に送ってみてください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。