先日、建設会社を経営している社長と話していたとき、ふとこんな一言が出てきました。

「税務調査って、どんな会社に来るんですか?うちって大丈夫ですかね?」

実は、税務署は闇雲に調査先を選んでいるわけではありません。申告書を受け取った段階で、かなり明確な基準をもとに「次に調べる会社」を絞り込んでいます。そしてその基準には、いくつかはっきりした共通点があります。

今日は「税務調査で選ばれやすい会社の3つの条件」をお伝えします。思い当たる節があれば、早めに手を打つことをおすすめします。

条件1:修正申告・無申告の履歴がある会社

一度でも申告を誤ったり、期限内に申告できなかった会社は、税務署のシステムに「要注意先」としてマークされます。

特に無申告だった会社の調査率は、実に約40%。一般的な申告済み企業と比べると、4倍近いリスクになります。「去年ちょっと遅れて申告した」「以前に修正申告したことがある」という場合は、少し注意が必要です。

過去のミスは取り消せませんが、その後の申告を正確に行い続けることで、税務署の関心は徐々に薄れていきます。焦らず、一つひとつ丁寧に申告し続けることが大切です。

条件2:同業他社と比べて利益率が極端に低い

税務署は業種ごとの平均的な利益率データを持っており、申告書を受け取った段階で自社の数字と自動比較しています。「この会社は同業他社より利益率が低すぎる」と判定されると、調査候補としてフラグが立つ仕組みになっています。

たとえば、同じ製造業でも粗利率が業界平均より15ポイント低い会社は、「何か費用を過大計上しているのでは?」と疑われる可能性があります。悪意がなくても、帳簿の付け方や費用処理の方法によって、見た目の利益率が下がってしまうケースは珍しくありません。

顧問税理士と一緒に、同業他社と比べた自社の数字を年に一度は確認しておくと安心です。「うちの利益率は業界的におかしくないか」という視点を持つだけで、リスクはかなり違います。

条件3:現金売上が多い業種に属している

飲食・建設・不動産など、現金での取引が中心の業種は、税務署の「重点調査対象」に分類されています。現金売上は帳簿への記録漏れが発生しやすく、不正を検出しやすい業種でもあるためです。

もし調査で不正が発覚した場合、通常の追徴税額に加えて「重加算税」が課されます。これが本税の35%という高い割合で上乗せされる、非常に重いペナルティです。仮に追徴税額が100万円であれば、さらに35万円が加算される計算になります。

現金商売だからといって必ず調査が入るわけではありませんが、日々の売上記録と帳簿管理をしっかり残しておくことが、リスクを下げる最善策です。

「うちは大丈夫」が、実は一番危ない

税務調査は「悪いことをした会社にしか来ない」ものではありません。気づかないうちにリスクの高い状況に置かれている会社が、実は少なくないのです。

3つの条件のどれかに心当たりがあるなら、まず顧問税理士に現状を共有してみてください。申告内容の見直しや書類の整備をするだけで、リスクを大きく下げられることがあります。

税務調査は突然やってきます。「来てから慌てる」より「来る前に備える」——この一手が、会社を守ることにつながります。次の決算が近いなら、今がちょうどいいタイミングです。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。