「去年、取引先の社長が税務調査に入られたって聞いて……うちは大丈夫ですかね」

こういった相談が、決算シーズンになると増えてきます。調査を受けた会社が全員、何か悪いことをしていたわけではありません。ただ、税務署の担当者から見て「気になるポイント」があったのは事実です。

今回は、国税庁が実際に重点を置く調査対象の特徴を3つ、率直にお伝えします。一つでも心当たりがあるなら、申告前に税理士と一度話し合っておくことをおすすめします。

第3位:現金取引が多い業種の会社

飲食業・建設業・不動産仲介業は、昔から税務調査の優先ターゲットとして知られています。

理由はシンプルで、現金が動く商売は「売上の一部を帳簿に載せない」ことが物理的にやりやすいからです。税務署もその点を熟知していて、これらの業種は他業種より調査頻度が明らかに高くなっています。

特に飲食業では、レジのデータと申告額に乖離があったり、原材料費と売上のバランスが崩れていたりすると、すぐに指摘対象になります。現金が動く場面が多いほど、日々の記帳を丁寧に積み上げていくことが、何より大切な防御策になります。

第2位:前年比で経費が急増した会社

これが意外と見落とされがちなポイントです。

国税庁は業種ごとの経費率データを長年蓄積しており、業界平均から大きく外れた申告書には自動でフラグが立つ仕組みになっています。「今期は設備投資があったから」という正当な理由があっても、証拠書類が揃っていなければ、調査官に説明がつきません。

例えば、売上がほぼ横ばいなのに経費だけが30〜40%増えていたとします。それが真っ当な支出であっても、調査が入ったときにまず問われるのは「なぜ増えたのか」です。答えられない状態で調査を迎えるのが、一番まずいパターンです。

経費の増加には必ず合理的な理由があるはず。その理由を事前に整理して証憑を保管しておくだけで、万一の際に慌てずに済みます。

第1位:売上が増えたのに利益が急減した会社

これが、税務署にとって最も「赤信号」に映るパターンです。

売上が伸びているのに利益が大きく落ちるのは、経営的に見ても不自然です。「仕入れコストが上がった」「人件費が増えた」という事情があるにしても、その矛盾を説明できる根拠がなければ、「意図的に利益を圧縮した」と判断されるリスクがあります。

最も怖いのが重加算税です。通常の追徴課税に加えて、仮装・隠蔽と認定されると35%が上乗せされます。追徴税額が200万円なら、さらに70万円が加算される計算です。「やましいことは何もない」という場合でも、数字の見た目だけで疑われることはあります。

決算書の数字が不自然に見えないよう、税理士と事前に確認しておくことが重要です。

調査は突然やってきます

税務調査には事前通知がありますが、準備期間は通常1〜2週間程度です。その短い期間に過去数年分の証憑を掘り起こして整理するのは、現実的には難しい。

日ごろから「なぜこの経費が発生したのか」を説明できる状態を保っておくこと。現金取引の記録をきちんと残すこと。そして前年と比べて大きく変化した項目には、必ず説明の準備をしておくこと。

この3点を意識しておくだけで、調査が入っても動揺せずに対応できるようになります。今期の決算で「これ、説明できるかな」と感じる数字がある方は、申告前にぜひ税理士に相談しておいてください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。