先日、年商5億円の製造業を営む社長から、こんな相談を受けました。

「顧問税理士に月30万円払っているんですが、毎年言われることが同じで…本当にこれでいいのか、ふと不安になって」

話を聞いてみると、決算書ができたら郵送してくれるだけで、「今期はこんな節税策を使いましょう」という話は一度もないとのこと。顧問料は年間360万円。でも実質やっていることは、申告書の作成だけです。

これ、決して珍しいケースではありません。

税理士の多くは「申告代行屋」になっている

正直に言います。税理士事務所の仕事の大半は、記帳代行と確定申告書の作成です。それ自体は悪いことではありません。ただ問題は、その顧問料が「節税アドバイス込み」で設定されているにもかかわらず、節税提案が一度もない場合です。

「申告代行屋」と呼ばれる税理士の典型は、決算後にしか連絡してこない。決算前に自分から動く習慣がない。そしてほとんどの社長は、それが「普通」だと思って疑わずにいます。

では、あなたの顧問税理士は本当に節税を考えてくれているのか。次の打ち合わせで試してみてほしい、3つの質問があります。

質問1:「うちの実効税率は今何%ですか?」

この質問に即答できる税理士は、まず合格です。

実効税率とは、法人税・住民税・事業税を合算した「実際の税負担率」のこと。日本の中小企業の場合、おおよそ23〜34%の範囲に収まることが多いですが、どこに位置するかによって節税の余地はまったく変わります。

年商5億円の会社なら、実効税率が1%動くだけで、課税所得の水準によっては年間500万円近く税負担が変わることもあります。この数字を頭に入れていない税理士は、節税という発想そのものがないと考えて間違いありません。「少し調べてみます」という返答が来た場合も、日常的に意識していない証拠です。

質問2:「節税シミュレーションを見せてもらえますか?」

この一言で、相手がどんな税理士かがすぐにわかります。

節税を日頃から意識している税理士なら、「現状のまま申告した場合」と「節税策を講じた場合」の比較を、具体的な数字で示してくれます。決算前に複数のパターンを提示して、「どれを選びますか?」と一緒に検討してくれるはずです。

一方、「それはちょっと難しくて…」「申告書を見ながら説明しますね」という返答が来たら要注意。その顧問料は、実質的に申告書の作成代として消えています。

節税シミュレーションは特別なものではなく、顧問税理士なら当然提供すべきサービスです。「できない」と言われたら、税理士の見直しを検討するに値します。

質問3:「決算3ヶ月前に打ち合わせを入れてもらえますか?」

節税は、決算が終わってからでは手遅れです。これが一番大切なポイントかもしれません。

役員報酬の設定、決算賞与の支給タイミング、設備投資の前倒し、保険の活用。こうした節税策はすべて、「決算前に意思決定する」ことで初めて機能します。決算書ができてから「こういう方法がありましたね」と言われても、後の祭りです。

優れた税理士は、決算の3〜4ヶ月前から動きます。「今期の着地はどうなりそうですか、一緒に確認しましょう」と自分から声をかけてきます。逆に、決算後にしか連絡してこない税理士は、申告書を届けているだけで、節税を提供しているとは言えません。

3問の答えで何がわかるか

この3問すべてに即答・対応できる税理士は、間違いなく「節税を軸に動いてくれる税理士」です。

1問でも「わからない」「難しい」が出てきたら、一度真剣に見直すタイミングかもしれません。税理士を変えることへの遠慮は要りません。医師と同じで、セカンドオピニオンを求めることは正当な権利です。

顧問料を払い続けながら年500万円の節税を見逃しているなら、税理士を変えるコストより、変えないコストの方がはるかに大きい。今の税理士に少しでも違和感を覚えているなら、まずこの3問を試してみてください。その答えが、次の一手を教えてくれます。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。