先日、年商3億円ほどの建設業の社長からこんな相談を受けました。「社員の満足度を上げたいんだけど、そのぶん税金も減らせたら最高なんだけどな」と。

実は、これ、両方かなえる方法があります。福利厚生をうまく設計すれば、社員にとって嬉しい待遇になりながら、会社側は経費計上して節税できる。一石二鳥どころか、一石三鳥の施策です。今回はコスパの観点から特におすすめしたい5つをランキング形式でご紹介します。

第5位:慶弔見舞金

意外と見落とされがちなのが、慶弔見舞金です。社員の結婚・出産・死亡・入院などに際して会社から支給するお金ですが、社内規程を整備しておくだけで全額経費にできます

規程がないと「給与」扱いになってしまい、社員に所得税がかかる可能性があります。金額の相場は業界や会社規模によってまちまちですが、すでに慣行として支払っているなら、いまからでも文書化しておくことをおすすめします。手間は一度だけ、節税効果はずっと続きます。

第4位:健康診断・人間ドック

4位は健康診断と人間ドック。条件がシンプルで使いやすい施策です。

ポイントは「全社員を対象にすること」。役員だけ、幹部だけ、では経費として認められません。パート・アルバイトも含めた全員が対象であれば、費用は全額損金になります。

一般的な健康診断は数千円〜1万円程度ですが、人間ドックになると5〜10万円台のコースもあります。健康管理と節税を同時に実現できるので、「何から始めればいいかわからない」という社長には最初の一手としておすすめしやすい施策です。

第3位:食事補助

3位は食事補助。ランチ代を会社が一部負担するやり方ですが、非課税になるには2つの条件があります。

「会社負担額が月3,500円以下であること」と「社員が食事代の半額以上を自己負担していること」。この両方を満たすと、社員側に所得税がかからず、会社側は経費計上できます。たとえばランチ1食あたり社員が200円、会社が150円負担する仕組みなら条件を満たします。

一見地味ですが、毎月コツコツ積み上がる節税効果はバカになりません。ただし月3,500円という上限はシビアなので、設計時は必ず税理士と数字を確認しておきましょう。

第2位:研修・資格取得費

2位は研修費や資格取得費の会社負担です。

業務に関連する研修や資格であれば、受講料・教材費・受験費用を全額損金にできます。社員のスキルアップと節税が同時に実現できるこの施策、コスパという点では文句なしの高評価です。

ただし「業務関連性」が条件です。営業職が宅建や簿記を取る、エンジニアがAI関連の資格を取る、といったケースは問題ありませんが、業務とまったく関係のない趣味・自己啓発系の講座は認められません。境界線が曖昧なケースは事前に確認しておくことが大切です。

第1位:企業型DC(確定拠出年金)

堂々の1位は企業型確定拠出年金、いわゆる「企業型DC」です。

掛金は全額損金になる上、社員の老後保障にもなる。これが1位の理由です。中小企業の場合、1人あたりの拠出限度額は月5万5,000円(年66万円)。社員が10人いれば年間660万円が経費になります。実効税率33%で換算すると、法人税の節約額だけで年約218万円にのぼります。

さらに「選択制DC」として設計すれば、社員が給与の一部を掛金に振り替えられるため、社会保険料の節約にもつながります。導入には手続きと初期コストが伴いますが、中長期で見ると圧倒的なコスパを誇ります。

5項目フル活用でどれだけ節税できるか

5つをすべて整備・活用した場合、規模感によりますが年間80万円を超える節税も十分に狙えます。特に企業型DCは掛金が大きいので単独でも効果は絶大ですが、慶弔見舞金・健康診断・食事補助は比較的ハードルが低く、すぐに始められるものばかりです。

「まずできることから」という社長には、慶弔見舞金の規程整備と健康診断の全員対象化を最初のステップとしておすすめしています。

福利厚生は「社員への投資」であると同時に、適切に設計すれば「合法的な節税手段」でもあります。まだ整備できていない項目があれば、今期中に一度、顧問税理士と一緒に棚卸ししてみてください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。