先日、顧問先の社長からこんなメッセージが届きました。「昨日の会食って、経費にして大丈夫ですか?」
こういう質問、実はとても多いんです。決算前になると「これは経費になりますか?」という確認が増えてきます。でも毎回税理士に相談するのも手間だし、自己判断して後から否認されるのも怖い。そのはざまで、判断を先延ばしにしている社長が少なくありません。
そこで今回は「その支出が経費かどうかをその場で判断する3つの質問」をお伝えします。
「なければ困るか?」で事業との関係を確かめる
最初に確認したいのは、「その支出は事業活動と直接つながっているか」です。
具体的には、「この支出がなかったら、その売上や取引が生まれなかったか?」と考えてみてください。
新規顧客候補との会食なら「関係構築がなければ受注できなかった」と言えます。一方、特定の取引先との関係もなく、ビジネス的な目的もない飲み会は、どれだけ楽しくても事業との関係が薄いと判断されます。
「将来的に役立つかもしれない」という間接的な理由では弱い。あくまで「今の事業活動との実質的なつながり」があるかどうかが問われます。
税務調査官に一言で説明できるか
2つ目の質問は、「その支出の目的を、税務調査官に一言で説明できるか?」です。
ここで多くの方が引っかかります。「なんとなく仕事関係の人と食事した」「将来的に役立ちそうだった」では、税務調査の場では通りにくいのです。
理想的なのは、「〇〇株式会社の山田部長と、次期プロジェクトの打ち合わせを兼ねた会食費」くらいの具体性です。金額が大きいほど、この説明力が重要になってきます。
逆に言えば、この一言をすらすら言えるなら経費計上の根拠としてかなり強い。「目的を言えるかどうか」を判断基準にするだけで、自分自身の経費感覚もぐっと明確になります。
「紙一枚」のメモが後々の武器になる
3つ目は「領収書と、その目的を示す記録を残せるか?」です。
領収書は当然として、大切なのは「誰と・何のために使ったか」のメモです。レシートの裏に手書きするだけでいい。スマホのメモに一行残すだけでいい。それだけで証明力がまったく変わります。
「領収書はある、でも目的のメモがない」という状態は半分しか準備できていません。税務調査では記録の具体性が問われます。時間が経つと記憶は薄れるので、支出した当日に残しておくのが鉄則です。
3問すべてクリアなら「経費の有力候補」
整理すると、この3問がすべてYesなら、経費として計上できる可能性がかなり高い支出です。
① 事業に直接関係があるか ② 目的を一言で説明できるか ③ 領収書・記録を残せるか
1問でもNoになる支出は慎重に検討が必要です。特に①が怪しい支出は、計上を見送るか顧問税理士に確認してから動くのが安全です。
経費の積み重ねが節税の基本
「たかが数万円の経費」と思うかもしれませんが、年間で見ると無視できない金額になります。
年間30万円の経費を適切に計上できれば、実効税率30%の会社で約9万円の節税効果が生まれます。50万円なら15万円、100万円なら30万円の差です。
経費計上は、リスクがほぼゼロの節税手法です。「本来経費になるはずの支出を計上していなかった」という機会損失は、意外と多くの会社で起きています。今期の計上もれがないか、顧問税理士と棚卸しをしてみることをおすすめします。
支払いの瞬間に「3秒確認」を習慣にする
この3問を知っておくだけで、日々の支出判断がぐっとラクになります。支払いの瞬間に「事業関係・説明できる・記録残せる?」と確認する習慣をつけるだけです。
まず今月から、すべての支出にこの3問を当てはめてみてください。一ヶ月後には、経費に対する感覚がかなり変わってくるはずです。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。