あなたの会社の役員報酬、今年の5月末までに見直す予定はありますか?

このひと言に、少しドキッとされた社長もいるかもしれません。実は役員報酬には「変更できる時期」が税務上の原則として厳格に定められていて、その期限を逃すと丸1年間、最適でない金額が固定されてしまうんです。

役員報酬は「いつでも変えられる」わけじゃない

社員の給料は会社の判断でいつでも増減できますが、役員報酬はまったく別物です。

税務上、役員報酬は「定期同額給与」が原則です。毎月同じ金額を払い続けることが条件で、途中で変えてしまうと、変更後の差額分が損金として認められなくなります。つまり、法人税の節税効果が消えてしまうんです。

合法的に変更できる唯一のタイミングが、「事業年度開始から3ヶ月以内」です。

3月決算(4月1日が期首)の会社なら4〜6月の間。2月決算なら3〜5月、つまり5月末が期限です。1月決算なら4月末が期限。この窓を過ぎると、次の期首まで変えられません。

今まさに4月下旬。「うちは2月決算だった」と気づいた方——まだ間に合います。今すぐ税理士に連絡してください。

「そのまま」でいると、どれだけ損をするのか

役員報酬を見直さなかった場合、具体的にどれくらいの差が出るのでしょうか。

会社の規模や利益によって違いますが、年商1〜3億円クラスの中小企業オーナーであれば、年間100万円以上の差が出ることは珍しくありません。なぜそんな差が生まれるのか——それは法人税率と個人の税率の「差」を活かす仕組みにあります。

中小企業の法人税実効税率は、法人住民税・事業税を含めておよそ25〜35%程度。一方、個人の所得税と住民税を合わせると、課税所得が900万円を超えたあたりから税率が43%を超えてきます。

会社にお金を残しすぎれば法人税がかかる。個人に出しすぎれば所得税が高くなる。この「どちらも最小になるポイント」に役員報酬を設定するのが、最適化の基本的な考え方です。

「低すぎ」も「高すぎ」も、どちらも損

節税というと「役員報酬を上げれば法人税が下がる」とシンプルに考えがちですが、それは半分正解、半分間違いです。

役員報酬が高すぎると、個人の所得税・住民税が増えるだけでなく、社会保険料の負担も重くなります。社会保険料は会社と個人で折半ですが、役員報酬の額によっておおよそ報酬の30%前後がかかることもあります。「税金を減らしたら保険料が爆増した」では本末転倒です。

逆に役員報酬が低すぎると、会社の利益が膨らんで法人税が増えます。さらに、住宅ローンや借入の審査で個人の収入証明が弱くなる、将来の厚生年金の受取額が少なくなるといった副作用もあります。

だからこそ、法人税・所得税・住民税・社会保険料を全部ひっくるめてシミュレーションしないと、本当の意味での「最適額」は見えてこないんです。

最適額を出すために必要な3つの情報

税理士に試算を依頼する前に、手元に揃えておきたい情報があります。

まず「今期の予想利益」。役員報酬を変更する前の粗利見込みと、販管費の概算が必要です。次に「現在の役員報酬と社会保険の標準報酬月額」。そして「他の所得の有無」——不動産収入や株の配当がある場合は、そこでもすでに税率が上がっていることがあります。

この3つを揃えれば、税理士なら30分もあれば最適な報酬帯の試算が出せます。その30分をかけるかどうかで、年間100万円単位の手取りの差が生まれるとしたら——やらない理由が見当たりませんよね。

期限が来る前に、一本電話を

「毎年ちゃんと試算してもらっている」という方は問題ありません。でも「決算のときだけ税理士と話す」「役員報酬はずっと変えていない」という方は、今期の期限内に一度確認してみてください。

役員報酬の最適化は、特別な節税スキームでも裏技でもありません。毎年必ずやるべき、基本中の基本の税務アクションです。それをやっているかいないかだけで、会社に残る手取りが大きく変わります。

5月末の期限まで、まだ時間はあります。今すぐ顧問税理士に「今期の役員報酬、試算してもらえますか」と一本連絡してみてください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。