先日、年商3億の製造業を経営する社長から、こんな相談を受けました。「同じくらいの規模の同業者と話したら、うちより税金が年間300万円以上少ないって言うんですよ。何が違うんですかね?」

その社長は特別なことをやっているわけではありませんでした。顧問税理士に言われた通りに申告し、特段おかしな処理もしていない。それでも差がついている。

答えは法人の使い方にありました。個人と法人では、投資・設備・保険・不動産に対する税の扱いが根本的に異なります。この違いを知っているかどうかで、決算の結果が年間で数百万円単位で変わることも珍しくありません。

今回は、法人でやるべき節税手法をランキング形式でご紹介します。

第3位:少額減価償却の特例をフル活用する

中小企業には「少額減価償却の特例」という制度が認められています。30万円未満の設備や機器を購入した場合、本来なら数年かけて減価償却するところを、購入した年に全額を経費計上できる仕組みです。年間300万円までが上限です。

たとえば、業務用パソコン・複合機・什器などを合計250万円分まとめて購入すれば、その年の利益からそのまま250万円を引けます。実効税率30%の法人であれば、約75万円の節税です。

知らずに毎年ちびちびと普通償却している会社は、それだけで数十万円単位の損をしています。決算前に設備投資の予定があるなら、「30万円の壁」を意識した購入タイミングの調整が重要です。

第2位:法人保険×退職金設計という二重メリット

次に紹介するのが、保険と退職金を組み合わせた節税設計です。これは個人では絶対にできない、法人ならではの手法です。

役員向けの法人保険の中には、支払った保険料の一部(または全額)を損金として計上できるものがあります。保険料が経費になるので、その分だけ法人税が減ります。

そして保険を解約するタイミングで受け取る「解約返戻金」を、役員退職金の原資として活用するのがポイントです。退職金は「退職所得控除」が手厚く、毎年の役員報酬として受け取るより手元に残る金額が大幅に増えるケースがほとんどです。

つまり、保険料を経費にして今期の法人税を削りながら、将来の退職時には税負担の軽い形でまとまったお金を受け取れる。この二重のメリットが法人保険の本質です。ただし、役員報酬の設定や保険の種類・解約時期によって効果が大きく変わるため、設計は必ず税理士と行ってください。

第1位:不動産の法人化で税率を20%以上下げる

最もインパクトが大きいのが、不動産を法人で保有する「不動産法人化」です。

個人でアパートやマンションを保有している場合、所得が増えるほど税率が上がる累進課税が適用されます。所得税と住民税を合わせた最高税率は55%。利益の半分以上が税金として消えていく計算です。

一方、法人税の実効税率は最大でも約34%。20%以上の開きがあります。年収(不動産所得)が2,000万円を超えてくる社長なら、年間200万円から500万円という規模で税負担の差が出ることがあります。

法人化のメリットはそれだけではありません。経費として認められる範囲が個人より広がり、家族を役員にして給与を分散することでさらに節税効果を高めることもできます。相続対策としても法人化は有効な選択肢です。

ただし、法人設立・維持のコスト、既存融資の組み直し、手続きの煩雑さなど、デメリットも当然あります。「とりあえず法人化」は危険で、現在の収入規模・物件数・将来計画をふまえた試算が必須です。


今回ご紹介した3つの手法は、どれも合法的かつ多くの法人が実践している節税戦略です。ただし、効果は会社の規模や状況によって大きく変わります。

「自分の会社に当てはめたらいくら変わるのか」は、顧問税理士との試算でしか出せません。まだ本格的な節税設計をしていないなら、今期の決算前に「法人投資の節税シミュレーション」を一度依頼してみてください。数字を見てから動いても、決して遅くはありませんから。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。