先日、建設会社を経営する社長からこんな連絡が来ました。「毎年5月に自動車税の納付書が届くんですが、これって会社の経費にできますよね?」
毎年この時期になると、同じ質問を何度も受けます。自動車税の請求が届くタイミングで、経費化を意識する社長が増えるのは自然なことです。
結論から言うと、社用車の自動車税を全額経費化することは十分可能です。ただし、「社用車だから全部経費で落とせる」と雑に処理してしまうと、税務調査で否認されるリスクがあります。今日は、正しく経費化するための条件を整理しておきます。
絶対条件は「法人名義」での車両登録
自動車税を法人の経費として全額計上するには、車両が法人名義で登録されていることが大前提です。
個人名義の車を業務で使っている場合、たとえ実態として社用で使っていても、その自動車税を全額経費計上することはできません。「社長の車だから会社の経費」という感覚でそのまま処理してしまっているケースは意外に多く、税務調査で指摘されると否認されます。
「名義変更が面倒で後回しにしている」という方は、この機会に陸運局での手続きを検討してください。手続き自体はそれほど複雑ではなく、一度済ませてしまえばすっきりします。
法人名義だけでは不十分——業務使用の実態記録が必要
法人名義になっていれば安心、というわけでもありません。税務署が確認するのは、「本当に業務で使っているか」という実態です。
特に問題になりやすいのが、役員や社長が私用でも日常的に使っているケースです。形式的に法人名義にして、週末は家族でドライブに使っている——という状況では、否認されるリスクが高くなります。
実態を証明するために有効なのが走行記録です。日付・行き先・業務目的を記録しておくだけで、税務調査の際の説明材料になります。手書きのノートでもスマホのアプリでも構いません。記録があるかどうかで、調査時の対応が大きく変わります。
私用との兼用なら「按分計上」という選択肢もある
通勤にも商談にも使っている、という場合は、全額経費化ではなく按分計上という方法があります。
年間の総走行距離に占める業務使用の割合を算出し、その比率分だけ経費として計上する方法です。たとえば年間1万5000km走り、そのうち業務使用が1万kmなら、自動車税の約67%が経費になります。
ポイントは、この按分割合に合理的な根拠があることです。「なんとなく業務7割」では否認リスクがあります。走行記録を元に、実態に基づいた数字を出すことが重要です。
排気量によって税額はこれだけ違う
自動車税は排気量によって金額が変わります。普通乗用車の目安として参考にしてください。
- 1000cc以下:年2万5000円
- 2000cc以下:年3万6000円
- 3000cc以下:年5万100円
- 4000cc超:年9万7500円以上
高級車や大排気量車になると、年8〜10万円台になることもあります。金額が大きくなるほど、経費化できるかどうかの差は軽視できません。
税務調査で否認されやすいパターン
最後に、よくある間違いを整理しておきます。
個人名義の車をそのまま経費計上している、走行記録が一切ない、家族も普段使いしているのに全額計上している——これらは指摘されやすい典型パターンです。
また、自動車税は毎年の費用として計上しますが、車両本体の購入費用は減価償却で処理します。この区分を混同してしまっているケースも見受けられるので、確認しておくと安心です。
今年の5月が過ぎてしまっていても、来年に向けて今から準備することはできます。法人名義への変更、走行記録の習慣化——どちらも今すぐ動ける対策です。車の経費化は、正しく整えれば堅実な節税の一手になります。現状の名義や記録の状況を、一度顧問税理士と確認しておくことをおすすめします。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。