先日、顧問先の社長からこんな連絡がありました。「税務調査で、車の経費を全額否認されそうなんですが…」。決算から2年後のことです。もちろん、そのときは既に手遅れ。社用車の経費計上は「なんとなくOKだろう」と思って処理しているケースが非常に多いのですが、実はミスが起きやすいポイントが3つあります。
今回は税務調査で実際に問題になりやすい社用車の経費計上ミスを、ランキング形式でお伝えします。
3位:走行記録をつけていない
「税務調査で事業利用を証明できますか?」と聞かれたとき、走行記録がなければ答えられません。税務署が見るのは「その車が本当に仕事に使われていたか」という実態です。
記録がない場合、調査官は「プライベートに使っていたんじゃないですか?」という立場から攻めてきます。こうなると、経費を全額否認されるリスクがあります。
走行日誌は、日付・行き先・走行距離・用件をセットで記録するのが基本です。面倒に感じるかもしれませんが、手書きのメモでも構いません。専用アプリを使えばスマホで簡単に管理できますし、今日から始めても遅くはありません。
2位:個人名義のまま法人の経費にしている
「社長が個人で買った車を、会社の仕事にも使っている」というケースは珍しくありません。ただ、そのまま法人の経費に落とそうとすると問題が起きます。
法人の経費として認められるには、その費用が法人に帰属していることが前提です。個人名義の車を法人の経費にするには、個人と法人の間に「賃貸借契約書」が必要になります。つまり、社長個人が会社に車を貸しているという形式を整えるわけです。
「家族ぐるみの会社だし、細かいことはいいでしょ」という感覚でやっていると、いざ税務調査が入ったときに書類がなくて困ることになります。契約書は1枚でも、あるとないとでは大違いです。
1位:プライベートで使っている分も全額計上している
ランキングの1位は、これが最も多いミスです。「社用車だから全額経費」と思い込んでいる社長が、本当にたくさんいます。
実際には、車を100%業務にしか使わないというケースはほぼありません。週末に家族で出かけたり、休日のゴルフに乗っていったりすれば、それはプライベート利用です。この場合、業務使用割合に応じて按分するのが原則です。
例えば業務での利用が7割であれば、経費にできるのも7割まで。残り3割は経費になりません。そして、この「7割」という根拠を示すのが、先ほどの走行記録です。走行日誌がなければ按分の根拠も示せないので、記録と按分はセットで考えてください。
全額計上していると、税務調査で差額分の追徴課税が発生するだけでなく、過少申告加算税や延滞税まで乗ってくることがあります。金額によっては、かなりのダメージになります。
今すぐチェックしてほしい3つのこと
- 走行日誌をつけているか(なければ今日から開始)
- 社用車の名義を確認し、個人名義なら賃貸借契約書を作成する
- 業務使用割合を計算し、按分比率を決めておく
社用車の処理は「なんとなく経費」では通りません。証拠と書類を整えることが、結局は一番の節税につながります。
今期の決算がまだ先であれば、今のうちに記録の体制を整えておくのが得策です。特に個人名義の車を使っている方は、賃貸借契約書の作成を顧問税理士に相談してみてください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。