「そろそろ息子に会社を渡したいんですが、自社株の評価額が上がりすぎていて…」

こんな相談が、ここ数年でぐっと増えています。業績を伸ばしてきた社長ほど、この問題に頭を抱えていることが多い。頑張れば頑張るほど株価が上がり、贈与税や相続税が重くのしかかってくる。なんとも皮肉な話です。

今日はそんな社長のために、自社株の評価を合法的に圧縮できる手法をランキング形式で紹介します。順番にも意味があるので、ぜひ最後まで読んでみてください。

第3位:役員退職金で純資産を減らす

手っ取り早く、かつ確実に効果が出やすいのが役員退職金の活用です。

退職金は会社の損金(経費)として計上できます。これが何を意味するかというと、会社の純資産が減る、つまり株価が下がるということです。純資産が3億円の会社で5,000万円の退職金を出せば、純資産は2億5,000万円に減ります。計算方法にもよりますが、株価が20〜30%下がるケースは珍しくありません。

税務上の上限の目安は「最終報酬月額 × 役員在任年数 × 功績倍率」で、社長の功績倍率は通常3.0が認められています。月額100万円で30年在任なら、最大9,000万円まで損金算入できる計算です。

注意点は退職の実態を伴わせること。名目だけ退職して実権を握り続けると「名目上の退職」と税務署に認定され、節税効果が否定されるリスクがあります。

第2位:持株会社(ホールディングス)で評価方法を変える

退職金よりさらに大きな圧縮効果が期待できるのが、持株会社の設立です。

仕組みを簡単に説明すると、「事業会社の株式を持株会社に移し、その持株会社の株を後継者に渡す」という二層構造を作ります。自社株の評価には「類似業種比準価額方式」や「純資産価額方式」などがありますが、持株会社を介することで評価方法が変わり、40〜50%の圧縮が現実的な数字になるケースもあります。

ただし、持株会社の設立には組織再編のコストがかかりますし、設立直後は一時的に評価が上がることもあります。「とりあえず作ればいい」というものではなく、タイミングの見極めが肝心です。この手法は設計段階から専門家を巻き込むことをおすすめします。

第1位:事業承継税制で「実質ゼロ」も狙える

ここまでの手法でしっかり株価を下げた上で活用したいのが、事業承継税制です。

中小企業の後継者が先代から株式を受け取る際の贈与税・相続税を、一定条件のもとで最大100%猶予してくれる制度です。「猶予」であって「免除」ではありませんが、後継者がそのまま経営を続ける限り、実質的に課税が棚上げされ続けます。

ここで重要なのが順番です。たとえば、役員退職金と持株会社の活用で株価を70%圧縮してから事業承継税制を適用すると、残り30%の評価額に対する税負担も猶予される。二段構えで負担を最小化できるというわけです。

なお、特例措置を使うには2027年3月末までに「特例承継計画」を都道府県知事に提出する必要があります。この期限を過ぎると、通常措置(適用要件が厳しくなる)しか使えなくなるため、動き始めるなら今です。

3つを組み合わせるのが鉄則

この3つは単独でも効果がありますが、組み合わせて初めて本領を発揮します。よくある失敗が「退職金だけ払って終わり」にしてしまうケース。株価は下がっても、事業承継税制の申請期限を見逃したり、持株会社の設立タイミングを誤ったりすると、せっかくの効果が半減します。

事業承継は人生で一度きりのイベントです。「そのうち考えよう」が最も危険な考え方で、株価が上がり続ける前に早めに動くことが何より大切です。特例措置の2027年3月末という期限は、思っているより早く来ます。まだ動き出していない社長は、まず事業承継を専門とする税理士に相談してみてください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。