先日、9月決算のある製造業の社長から、こんな相談を受けました。 「去年と同じやり方で経費を処理していたら、税理士に指摘されて青ざめた」というのです。
話を聞くと、原因は単純でした。今年度から広がっている交際費や設備投資の基準を、去年の感覚のまま見過ごしていただけだったのです。 悪いことをしていたわけではありません。ただ、制度が変わったことに気づいていなかっただけです。
9月は多くの会社にとって中間決算の月です。ここで一度、今年の制度を数字で確認しておくかどうかで、決算までの半年の経費の付け方が変わってきます。 今日は、社長が押さえておきたい3つのポイントをお伝えします。
交際費の飲食費、基準はもう変わっている
1つ目は、交際費のうち飲食費の扱いです。 1人あたりの金額がある基準以下であれば、交際費ではなく会議費や損金として処理できる、という仕組みがあります。
この基準が、以前よりも広がっています。 先ほどの社長は、この基準を去年の水準のまま計算していたため、本来なら経費として認められる飲食費まで、わざわざ交際費枠に押し込んでいました。
交際費には損金算入の上限があります。 枠を無駄に使ってしまうと、本当に交際費として計上したい支出が上限に引っかかってしまう、ということも起こりえます。 経理担当者に、今の基準で処理できているかどうか、一度確認してみることをおすすめします。
30万円未満の設備投資、即時償却という選択肢
2つ目は、少額の設備投資の処理方法です。 一定額未満の資産については、通常の減価償却ではなく、購入した年度に一括で経費にできる特例があります。
この社長の会社では、パソコンや什器などの少額投資について、この特例を使わずに、律儀に数年かけて減価償却していました。 間違いではありませんが、もったいない話です。
中間決算のタイミングで利益が大きく出そうな年ほど、この特例をどう使うかで納税額の見え方が変わってきます。 逆に、今期は特例を使わずに翌期以降へ経費を平準化したい、という判断もありえます。 どちらが自社にとって得なのかは、今期の利益見込みとセットで考える必要があります。
中間決算だからこそ、一度立ち止まる価値がある
3つ目は、制度そのものよりも姿勢の話です。 税制は毎年のように部分改正が入ります。去年正しかった処理が、今年もそのまま正しいとは限りません。
多くの社長は、期末が近づいてから慌てて経費を見直します。 しかし中間決算のタイミングで一度立ち止まれば、残り半年の経費の付け方を、今年の制度に合わせて修正する時間が十分にあります。
決算間際に「今年から変わっていたなんて知らなかった」と気づくのと、9月の段階で軌道修正するのとでは、納税額にも心理的な余裕にも、大きな差が出ます。
まだ今期の制度を数字で確認していないなら、中間決算のこのタイミングで、一度顧問税理士に聞いてみるのがおすすめです。 交際費の基準も、少額減価償却資産の特例も、細かい適用条件があります。自社の状況に当てはめて判断するのは、やはりプロに確認するのが一番確実です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。