先日、製造業を営む社長からこんな相談を受けました。「もう中間決算の時期なのに、今期の税制改正を何も反映できていない気がする」。
実はこの社長だけではありません。決算対策というと期末にまとめて考えがちですが、中間決算のタイミングで見直しておかないと、残り半年で打てる手が一気に狭まる項目が3つあります。今日はその優先順位をお伝えします。
第3位 少額減価償却資産の特例、使い切れていますか
中小企業者等であれば、取得価額30万円未満の資産は全額をその期の損金にできます。パソコンや複合機、応接セットの買い替えなど、思い当たる備品はありませんか。
この特例には年間300万円という上限があります。中間決算の時点で「今期あといくら枠が残っているか」を把握しておかないと、期末に慌てて駆け込み購入をしても、既に上限に達していて全額損金にできなかった、という事態が起こります。
設備投資の予定があるなら、上期の実績を踏まえて下期にどう配分するか、今のうちに計画を立てておくのがおすすめです。
第2位 交際費、1万円基準を正しく使えていますか
取引先との会食費用は、1人当たり1万円以下であれば交際費に含めず全額損金にできます。以前は5,000円が基準でしたが、引き上げられてから「まだ5,000円のつもりで領収書を処理している」という会社を実はよく見かけます。
基準額が変わったことで、これまで交際費として使い切れなかった飲食費が、実は全額損金にできるケースが増えています。逆に言えば、社内の経理ルールが古いままだと、本来使える枠を使い損ねていることになります。
中間決算のタイミングで、上期の飲食費の処理が最新の基準に沿っているか、一度棚卸ししてみてください。1人当たりの金額が分かる領収書や参加者記録を残しておくことも忘れずに。
第1位 賃上げ促進税制、控除上限20%の壁
最も見落とされがちなのが賃上げ促進税制です。給与等の支給額を一定以上増やすと税額控除が受けられる制度で、控除率自体は高く設定されていますが、実際に使える控除額には法人税額の20%という上限があります。
つまり、どれだけ賃上げをしても、その期の法人税額が小さければ控除枠を使い切れず、権利を持て余してしまうことがあります。逆に言えば、賃上げの実施時期と利益の出方のバランスを見ながら、いつ賃上げを反映させるかを調整する余地があるということです。
中間決算で今期の着地利益がある程度見えてきた段階だからこそ、下期の賃上げ計画と控除上限の見合いを一度シミュレーションしておく価値があります。控除しきれなかった分を翌期以降に繰り越せる制度もあるので、単年で判断せず数年単位で考えるのがポイントです。
中間決算はゴールではなく、残り半年の設計図を描き直すタイミングです。この3項目、まだ確認できていないなら、次の月次試算表が出るタイミングで顧問税理士と一緒にチェックしてみてください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。