先日、顧問先の社長からこんな相談を受けました。従業員が20人を超えてきたので、そろそろ死亡保障を整えたい。保険代理店から個別の定期保険を勧められているが、これで進めていいだろうか、というものでした。
結論から言うと、人数がまとまっているなら個別契約を積み上げるより先に検討すべき制度があります。総合福祉団体定期保険です。
個別の定期保険を積み上げると割高になりやすい
従業員の死亡保障というと、一人ひとりに定期保険をかけていく発想になりがちです。保険営業からの提案も、この形が多いように感じます。
ですが、個別契約は加入者ごとに保険会社の審査が入り、保険料も個人単位の料率で計算されます。人数が増えるほど、契約数も事務負担も比例して膨らんでいきます。
年齢や健康状態によって保険料にばらつきが出るため、全社的に見ると保障のバランスも取りにくくなります。
総合福祉団体定期保険という選択肢
ここで検討したいのが、総合福祉団体定期保険です。1年更新の掛け捨てタイプで、会社が契約者となり、従業員を被保険者としてまとめて加入する制度です。
団体でまとめることで保険料が個別契約より割安になる傾向があり、これが最大のメリットと考えられます。従業員数が多い会社ほど、その差は大きくなりやすいでしょう。
全員加入を前提とした制度設計であれば、保険料の損金処理もシンプルになりやすい点も見逃せません。個別契約のように契約ごとの経理処理をひとつずつ確認する手間が減ります。
福利厚生として設計する意味
総合福祉団体定期保険は、単なる節税策としてではなく、福利厚生制度として位置づけるのが本来の姿です。
万が一のとき、遺族に保障が用意されている会社かどうかは、求職者にとって見えにくいけれど重要な判断材料になります。採用面接で「弊社は従業員の遺族保障を制度として整えています」と言えるかどうかは、中小企業にとって意外と効いてくるところです。
個別契約を一件ずつ積み上げていくより、制度として最初から設計しておくほうが、保険料の面でも採用の面でも合理的だと言えます。
導入時に確認しておきたいこと
総合福祉団体定期保険を検討する際は、いくつか押さえておきたいポイントがあります。
- 原則として全従業員加入が前提となる制度であること
- 保障額の設計は会社側である程度自由が利くこと
- 入退社が多い会社では、加入・脱退の手続きフローを事前に決めておく必要があること
すでに個別契約が先行している会社の場合は、既存契約をどう整理するかという論点も出てきます。既契約の解約タイミングや、団体保険への切り替えスケジュールは、保険代理店と税理士の両方に相談しながら進めるのが安全です。
従業員数がまとまってきたタイミングは、保障制度を見直す良い機会です。個別契約の提案を受けているなら、まずは総合福祉団体定期保険で試算を取ってみることをおすすめします。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。