先日、フリーランスのコンサルタントをしている知人から連絡がありました。「去年の売上がついに1,200万円に乗ったんだけど、税金がえぐくて……法人化したほうがいいのかな?」という相談でした。
その気持ち、すごくよくわかります。年収1,000万円を超えた瞬間から、税金の重さが体感として変わるんです。
個人事業主で年収1,000万円を超えると何が起きるか
所得税・住民税・事業税(第一種事業は税率5%)が重なり、実効税率が30〜40%を超えることも珍しくありません。年収1,200万円で手元に残るのが700万円台、というケースも十分あり得ます。
毎年数百万円が税金で消えていく。それがずっと続くとしたら、相当もったいないですよね。
法人化でなぜ税金が安くなるのか
結論から言えば、法人税の実効税率は個人より低く設計されているからです。
所得800万円以下の部分に対する法人税率は約22〜23%。個人事業主の最高税率(所得税45% + 住民税10%)と比べると、雲泥の差があります。
さらに大きいのが「役員報酬」の仕組みです。個人事業主が利益を受け取るときはそのまま課税対象になりますが、法人を作って自分が役員になり報酬を受け取ると、給与所得控除が使えます。
たとえば年収600万円なら約164万円が給与所得控除として差し引かれます。これだけで課税所得がぐっと下がる。シンプルですが、効果は絶大です。
「家族への役員報酬」が最強の節税策の一つ
奥様や家族が実際に業務に関わっているなら、法人から役員報酬を支払えます。これが所得分散の核心です。
夫婦合計で1,800万円の所得があるとします。1人に集中させると高い税率が適用されますが、900万円ずつ分散させると適用税率が下がり、トータルの税負担が大きく減ります。
この所得分散は、合法的な節税策の中でも最も効果が大きい手法の一つです。「そんなことができるの?」と驚く方も多いのですが、適切な形で行えば全く問題ありません。
具体的にいくら節税できるのか
ケースによって差はありますが、年収1,500〜2,000万円規模の方が法人化し、役員報酬の最適化・家族への分散・各種経費化を組み合わせると、年間500万円規模の節税になることも十分あります。
注意点として、法人設立には初期費用(約20〜30万円)がかかります。また社会保険料の負担も増えます。個人事業主時代は国民健康保険・国民年金でしたが、法人化すると社会保険への加入が必須となり、会社負担分が上乗せされます。
この社会保険料の増加を考慮しても、年収1,000万円を超えている方であれば多くのケースで手残りは増えます。ただし「必ず得する」とは言い切れないので、試算は欠かせません。
法人化を検討するタイミング
目安として語られるのは「年収800〜1,000万円を超えたとき」です。それ以下だと、設立・維持コストと節税効果がほぼ相殺されがちです。
ただ、節税だけで判断するのはもったいないんです。取引先への信頼性向上や事業承継の布石まで視野に入れると、もっと早いタイミングで法人化したほうがいいケースもあります。長期的な視点で考えると、判断が変わることも多い。
もし今、個人事業主として年収1,000万円を超えていて「法人化が良さそうだけど、何から始めればいいかわからない」という状態なら、今期の確定申告が終わったタイミングで一度、税理士に試算を依頼してみてください。数字を見れば、決断がぐっとしやすくなります。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。