先日、フリーランスで年収1,500万円を稼ぐコンサルタントから相談を受けました。「税金が重すぎて手元に残らないんですよね」と。決算書を見ると、所得税と住民税だけで年間500万円以上が消えていました。

もし彼が3年前に法人化していたら、累積で600万円以上が手元に残っていたかもしれません。

個人のまま稼ぐと、最高55%が消えていく

個人事業主の税負担は、想像以上に重いです。所得税は累進課税で、課税所得が4,000万円を超えると税率は45%。ここに住民税の10%が加わると、**合計55%**が税金として持っていかれる計算になります。

年収1,500万円のコンサルタントでも、課税所得が1,000万円を超える部分には33%の税率がかかります。「稼いでも稼いでも手元に残らない」という感覚は、数字で見ると十分すぎるほど納得できます。

法人化すると何が変わるのか

法人の基本税率は23.2%です。個人の最高税率55%と比べると、その差は歴然です。

ただ、もっと大きな効果があるのが役員報酬の設計です。

法人から自分に役員報酬を支払うと、給与所得控除が使えます。たとえば年収1,000万円の役員報酬なら、195万円が自動的に控除される。法人の経費になりつつ、個人の課税所得も圧縮できる——これが個人事業にはない、法人ならではの仕組みです。

さらに、家族を役員にして報酬を分散する、社宅制度を活用する、出張旅費規程を整備する——こうした策を組み合わせると、年間200万円以上の税負担差が生まれるケースも珍しくありません。

設立コストは約30万円。何ヶ月で回収できる?

株式会社の設立にかかる費用は、登録免許税や定款認証費用などを含めておよそ30万円前後です。合同会社ならさらに安く、10万円程度から設立できます。

年間200万円の節税効果が出るなら、わずか2〜3ヶ月で初期投資を回収できる計算になります。もちろん法人には社会保険の加入義務や決算申告のコストもあるので、「純粋な手取り増」として何円残るかを試算することが大切です。

法人化を検討すべき目安は「年収800万円」

よく聞かれるのが「いつ法人化すればいい?」という問いです。一般的に語られる目安は事業所得が年間800万円を超えたあたりです。

ここを超えてくると、個人で稼ぎ続けることのコスト(税負担)が法人維持コストを上回り始めます。ただしこれはあくまで目安で、事業の種類や家族構成、将来の事業展開によって最適なタイミングは変わります。

「もっと早くやっておけばよかった」と後悔する経営者が多い一方、「まだ早かった」という声も聞きます。個別の判断は、数字を並べて比較するしかありません。

法人化は節税の「出発点」にすぎない

法人化した後に活用できる経費の幅、退職金の活用、小規模企業共済との組み合わせ——節税の本番はここからです。器を作るだけでなく、その器をどう使うかで手取りの差はさらに広がります。

年収が800万円に近づいてきたら、信頼できる税理士に一度「法人化シミュレーション」を依頼してみてください。試算を見れば、決断は思ったより早くなるはずです。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。