先日、顧問先の社長からこんな一言をもらいました。
「小規模企業共済は入ってるんですよ。でも掛金、月2万円くらいで止めてるんですよね。」
その瞬間、「もったいない」と思いました。小規模企業共済は月7万円まで掛けられます。しかもiDeCoと組み合わせると、節税効果はさらに大きく跳ね上がります。2つをフル活用している社長が、意外と少ないんです。
月8.4万円の掛金で、年37万円が手元に残る
結論から言います。小規模企業共済とiDeCoを最大限に活用すると、合計の月掛金は8.4万円になります。この8.4万円が、まるごと所得控除の対象です。
内訳はシンプルです。小規模企業共済が月7万円(年間84万円)、iDeCoが月1.4万円(年間約17万円)。合計すると年間101万円超の所得控除。実効税率が37%の社長なら、これで年37万円の税負担が減る計算になります。
毎月8.4万円を払って、毎年37万円が戻ってくる感覚です。利回りにすると悪くない話だと思いませんか。
なぜ2つを組み合わせると効果が増すのか
「どちらか一方でも十分では?」と感じる方もいるかもしれません。でも所得控除は、積み上げるほど威力を発揮します。
所得が下がれば、適用される税率が下がる可能性があります。課税所得の「最後のひとコマ」を削り切るのに、この2つの組み合わせは非常に相性がいいんです。小規模企業共済だけで年84万円の控除を取っていたところに、iDeCoで17万円を積み増す。その積み増し分が、ちょうど高い税率帯にかかっていることも多いです。
単体で使うより、組み合わせて使う。それだけで節税効果は文字通り2倍以上になります。
それぞれの制度をおさらい
「どっちがどっちだっけ」という方のために、簡単に整理しておきます。
小規模企業共済は、中小企業の経営者や個人事業主が加入できる退職金の積立制度です。月1,000円から7万円の間で自由に設定でき、廃業・引退時に受け取れます。掛金は全額所得控除になるうえ、受取時も退職所得控除が使えるため二重に優遇されています。加入窓口は商工会議所や中小機構の提携金融機関です。
**iDeCo(個人型確定拠出年金)**は、自分で運用先を選ぶ私的年金です。掛金が全額所得控除になり、運用中の利益も非課税。受取時も税制優遇があります。国民年金に加入している個人事業主や会社員でない役員の場合、月最大6.8万円まで拠出できます(他の年金制度との兼ね合いで実際の上限は変わります)。
どちらも「今払った掛金で、今年の税金を減らせる」のが最大のメリットです。
正直に言う、注意点もある
節税効果が大きい分、気をつけておきたい点が2つあります。
ひとつは資金の拘束です。iDeCoは原則60歳まで引き出せません。小規模企業共済も、加入から20年未満で任意解約すると元本割れのリスクがあります。手元のキャッシュフローをよく確認してから掛金を設定することが大前提です。
もうひとつは手続きにかかる時間です。iDeCoは証券会社や銀行で口座開設が必要で、実際に掛金を拠出できるまで2〜3ヶ月かかることもあります。今期の確定申告に間に合わせたいなら、早めに動くことをおすすめします。
掛金は1,000円単位で変更できるので、いきなりフルにせず月3〜5万円から始めて慣れていくやり方も賢明です。
まだ掛金を「とりあえず」で決めているなら、今期が見直しどき
小規模企業共済の掛金を低めに設定したまま何年も放置している社長は、実はかなりいます。iDeCoをまだ始めていない方も多いです。
顧問税理士に「小規模企業共済の掛金、上限まで引き上げられますか?iDeCoとの組み合わせも一緒に考えてもらえますか?」と聞いてみてください。それだけで、年37万円の節税が動き出すかもしれません。決算が近い今こそ、動くタイミングです。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。