先日、都内でマンションを3棟所有する社長からこんな相談を受けました。「毎年それなりに家賃収入があるのに、なぜか手残りが少ない。税金ばかり取られている気がして」と。
話を詳しく聞いてみると、不動産の持ち方や使い方を少し工夫するだけで、年間200万円以上の節税余地が見えてきました。「こんな方法があったのか」と驚く社長も多いのですが、知っているか知らないかの差でしかありません。今回は、その中でも特にインパクトの大きい3つをご紹介します。
3位:物件購入時の「按分」が減価償却を左右する
不動産を購入するとき、「1億円の物件を買った」で終わらせてしまうと、税務的に大きな機会損失が生まれます。
減価償却費として経費に計上できるのは建物部分だけで、土地はどれだけ高価でも経費になりません。だからこそ、土地と建物をどんな割合で按分するかが重要になってきます。
1億円の物件で建物の割合を60%に設定できれば、建物価額は6,000万円。法定耐用年数で割ると、年間約270万円が減価償却費として経費に乗ってきます。同じ物件でも、按分の設計次第で毎年の経費が数十万〜数百万円変わります。購入前に税理士と一緒に確認しておくことが大切です。
2位:法人で保有すると税率の壁が一気に下がる
個人で不動産を保有していると、家賃収入が増えるほど税率が上がっていきます。所得税と住民税を合わせると、最大で**55%**まで達します。
一方、法人の実効税率は約34%。この20%超の差は、家賃収入が大きくなるほど絶対額でも膨らんでいきます。年間1,000万円の家賃収入があれば、単純計算で年200万円超の差になります。
もちろん、法人設立のコストや事務負担、個人から法人への移転時の各種税費用も発生します。「すでに個人で持っている物件をいますぐ法人に移すべきか」は状況によりますが、これから新規購入するなら最初から法人名義で取得するという選択肢は、真剣に検討する価値があります。
1位:役員社宅スキームがダントツのコスパ
不動産を使った節税の中で、現時点で最もインパクトが大きいのが役員社宅の活用です。
仕組みはシンプルです。法人が物件を借り上げて、役員であるあなたに転貸する。ただし、役員が会社に払う家賃は、国税庁の通達に基づく「賃貸料相当額」の計算式で算出された金額でよく、これが市場家賃よりもかなり低い水準になります。
月30万円の家賃の物件を法人が借り上げ、役員が月5万円だけ会社に支払うケースを考えてみてください。差額の月25万円、年間換算で300万円が丸ごと法人の経費になります。
給与として受け取れば所得税がかかりますが、社宅という形にすることで、非課税の実質的な報酬として受け取れる。これが役員社宅の本質的なメリットです。設計次第で年200万円超の節税は十分に現実的です。
3つの手法、どれから動くべきか
この3つを整理すると、次のような優先度になります。
- 社宅スキーム:すぐに着手できる。法人があれば今期から設計可能
- 法人保有:次の物件購入のタイミングで必ず試算を依頼する
- 按分設計:購入前の一度きりの判断。事前確認が絶対条件
「不動産の持ち方について、顧問税理士と一度も踏み込んだ話をしたことがない」という社長は、まず今期中に相談のアポを入れることをおすすめします。不動産は金額が大きい分、一度の設計の差が長期にわたって効いてきます。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。