先日、知り合いの社長からこんな話を聞きました。「うちの営業車、ずっと個人名義のままなんだよね」と。年間の車両関連費用を聞いてみると、ガソリン代・保険料・車検・自動車税を合わせて約50万円。その話を聞いて、「もったいないな」と正直思いました。
社用車の経費計上の話をしたところ、その社長は目を丸くしていました。やり方次第で、年間10万円以上が手元に残る話だったからです。
車両費50万円なら、45万円が経費になる
社用車を法人名義にすると、自動車税・車両保険・ガソリン代・車検費用などを事業使用割合に応じて経費計上できます。
営業や顧客訪問で日常的に使っている車なら、事業使用割合を90%と設定することも珍しくありません。年間の車両関連費用が50万円なら、90%の45万円を経費にできます。
法人の実効税率が30%程度であれば、節税額は約13.5万円。「年10万円以上」というのは、決して大げさな数字ではないんです。
個人名義のままにしておくと、毎年損をし続ける
個人名義の車で営業に使っていても、その費用は原則として「個人の支出」として扱われます。会社が実費精算する方法もありますが、法人名義と比べると節税効果はかなり限定的です。
一方、法人名義にすれば、車両本体の減価償却まで経費にできます。たとえば200万円の車を定率法で4年償却すれば、1年目だけでも相当な額を経費に落とせます。
購入のタイミングも重要で、決算月の数日前に買った場合でも、その期に大きな経費を作れるのが法人名義ならではのメリットです。毎年の維持費だけでなく、購入時にも節税の機会があることを覚えておいてください。
「記録なし」は経費ゼロになる可能性がある
ここが一番大事なポイントです。事業使用割合を主張するには、**走行日誌(業務使用記録)**が必要になります。
税務調査で「この車は本当に事業で使っていましたか?」と問われたとき、記録がなければ証明できません。そうなると、経費として計上していた金額を全額否認されるリスクがあります。せっかく節税してきた分が、加算税・延滞税つきで戻ってくることにもなりかねません。
走行日誌に記録すべき内容はシンプルです。
- 日付
- 走行前後のメーター数(走行距離)
- 訪問先・目的
- 運転者名
手書きでも、スマートフォンのアプリでも構いません。継続的に記録があるという事実が、税務調査のときに経費を守る盾になります。
個人事業主はどうする?
個人事業主の場合も、事業で使っている割合を「家事按分」として経費計上できます。考え方は法人名義と基本的に同じで、走行日誌などで使用割合を証明することが前提です。
ただし、法人と比べると減価償却の取り扱いや節税効果の大きさが変わることもあります。法人化を検討しているなら、車の名義変更もセットで相談するのが効率的です。
今すぐ確認してほしいこと
まず、今乗っている車が法人名義か個人名義かを確認してください。個人名義なら、法人名義への変更が節税の第一歩です。名義変更には手続きコストがかかりますが、毎年の節税効果と比較すれば、多くの場合1〜2年で回収できます。
走行日誌をつけていないなら、今日から始めてください。習慣になれば1日1分かかりません。でも、それがないだけで節税の根拠が崩れてしまう。ここだけは手を抜かないでほしいと思います。
「どうせ自分には関係ない」と思っていた方ほど、試算してみると意外な金額になることがあります。まずは顧問税理士に「うちの車、どのくらい経費にできますか?」と一言聞いてみるところから始めてみてください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。