先日、年商3億の建設会社を経営する社長から、こんな一言をもらいました。

「毎年5月に自動車税の通知が来るたびに、なんか損してる気がするんですよね」

その直感、正解です。

5月の自動車税、社長が個人で払い続けるのは「もったいない」

毎年5月になると、自動車税の納付書が届きます。納付期限は5月31日。軽自動車なら1万円ちょっと、普通車なら3〜10万円前後のまとまった出費です。

ここで一つ聞かせてください。その車、業務でも使っていませんか?

営業先への移動、仕入れ先との打ち合わせ、銀行への移動……社長の車は、多かれ少なかれ仕事で使っているはずです。にもかかわらず、個人名義のまま個人で税金を払い続けているとしたら、本来会社が負担すべきコストを、自分のポケットから出し続けていることになります。

社用車にすると、何が経費になるのか

車を法人名義の社用車にすれば、自動車税だけでなく、車にまつわる費用のほぼすべてが会社経費として計上できるようになります。

具体的には、毎年5月の自動車税はもちろん、任意保険(車両保険・対人・対物)、ガソリン代や高速代、月極駐車場やコインパーキングの利用料、そして車検・定期点検・タイヤやオイル交換といった消耗品も対象になります。

これらを合計すると、普通車1台で年間20〜30万円を超えることも珍しくありません。仮に年間の車関連費用を27万円と見積もった場合、実効税率30%の法人なら節税効果は年間約8万円。「たった8万」と感じるかもしれませんが、これが毎年積み重なると10年で80万円です。法人でお金を動かしているなら、見逃すには惜しい金額です。

「個人名義のまま経費に入れる」では不十分な理由

社用車登録の話をすると、「名義変更しなくても、業務で使っていれば個人名義のまま経費に落とせるんじゃないですか?」という質問をよく受けます。

確かに、個人名義の車でも業務使用分を按分して計上する方法はあります。ただし、この場合は「どれだけ業務で使ったか」の証拠をきちんと残しておく必要があります。具体的には運行記録簿を毎回つける、といった手間が継続的に発生します。

それが抜け落ちると、税務調査で「プライベートとの混在が認められる」として、経費否認されるリスクが生じます。法人名義に変えてしまえば、車が会社のものであることが明確になるので、経費計上の根拠も立てやすくなります。

社用車登録、手続きの流れと注意点

実際に法人名義に変えるには、陸運局での名義変更手続きが必要です。車庫証明・法人の印鑑証明・登記簿謄本などを用意して手続きを進めます。

ただし、手続きよりも先に整理しておきたいことがあります。

個人が所有している車を法人に「売る」形になるため、適正な売買価格を設定し、売買契約書を交わす必要があります。中古車の時価から大きく外れた金額を設定すると税務上の問題になる場合があるので、ここは税理士と相談しながら進めるのが安全です。また、ローンが残っている車の場合は、ディーラーや信販会社に確認してから動きましょう。名義変更の前にローンを完済するか、ローン会社の承諾を得る必要があるケースがほとんどです。

手続き自体は複雑ではありませんが、書類の不備や価格設定のミスがあとから問題になることがあるので、税理士と一緒に進めることをおすすめします。

5月の納付書を受け取ったら、動き始めるチャンス

毎年5月に届く自動車税の通知は、「また今年も払うのか」と流してしまいがちです。ただ、それを受け取ったタイミングこそ、社用車の扱いを見直す絶好の機会です。

社用車登録は、一度やってしまえば以後は毎年自動的に節税が続きます。年8万円の効果が10年継続すれば、それだけで80万円の差になります。これを「車の経費ごとき」と放置する理由は、あまりありません。

まだ個人名義のまま使い続けているなら、今年の5月末の納付を最後にして、今期中に法人名義への切り替えを検討してみてください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。