先日、顧問先の社長から「税務調査が入ると聞いて、昨夜眠れなかった」という電話を受けました。
話を聞いてみると、心当たりがいくつかあるとのこと。幸い事前に相談してくれたので、その場で一緒に対応策を考えることができました。でも、こういう相談を受けるたびに思うのです。もっと早く知っておいてほしかった、と。
税務調査で追徴課税を受ける社長には、共通したパターンがあります。しかも本人は「これくらい大丈夫だろう」と思っていることが多い。今回は、実際の調査現場でよく見られる3つの特徴をお伝えします。
現金売上を「少しだけ」手元に残している
飲食店や小売業など、現金取引が多い業種でよく見られるケースです。
「月に数万円くらいなら…」という感覚でレジを通さずに売上を手元に置いておく。最初は小さな金額でも、数年積み重なると、申告した売上と業界平均の利益率が大きくずれていきます。
税務署は業種別の平均的な数字をデータとして持っています。「この業態でこの利益率はおかしい」と判断された瞬間、調査のターゲットになります。
そして最も怖いのが、故意と認定された場合に課される**重加算税35%**です。100万円の追徴が出れば、そこに35万円が上乗せになる。さらに延滞税も加わるため、最終的な支払い総額は想像以上に膨らみます。
家族旅行や趣味の外食を経費に入れている
「社員旅行」「接待交際費」という名目で、実態は家族旅行だったり、友人との食事だったりするケース。これも調査官が必ずチェックする項目のひとつです。
参加者の名前、行き先、目的。これらに一貫性がないと、ほぼ確実に指摘されます。
「領収書があれば経費になる」と思っている社長がいますが、それは誤解です。経費として認められるには、事業目的があること・金額が妥当であることの両方が必要です。家族4人分の宿泊費が「社員研修」として計上されていれば、調査官はそこを起点に周辺一帯を掘り下げていきます。そしてこれも、悪質と判断されれば重加算税が上乗せされます。
領収書の日付や内容に矛盾がある
「後でまとめて精算しよう」と思っていたら領収書をなくしてしまった。知り合いのお店で後日書いてもらった領収書を使ったことがある。こういった経験がある場合は、少し注意が必要です。
調査官はプロです。領収書の用紙の種類、筆跡の統一感、購入日と発行日のズレ、取引先への反面調査(取引先にも直接確認すること)を通じて、細かい不一致を洗い出します。
事後に作成された領収書や、実際には支出していない費用が経費として計上されていることが判明すると、それは「節税」ではなく「脱税」として扱われます。最大7年分さかのぼって調査されることもあり、積み上がった追徴額は相当なものになります。
「小さな会社だから来ない」は通用しない
2020年代に入り、税務調査のデジタル化が急速に進んでいます。e-Taxの普及でデータが蓄積され、申告内容の異常値を検出する仕組みも整ってきました。
国税庁の統計を見ると、法人への実地調査件数は減少傾向にあります。ただし、1件あたりの追徴税額は逆に増加しています。つまり「来たときにはしっかり取られる」という状況です。
今回の3つの特徴に心当たりがある場合は、まず顧問税理士に率直に話してみてください。自主的に修正申告すれば、重加算税を回避できる可能性があります。隠さずに相談してもらえれば、一緒に最善策を考えることができます。調査官に指摘される前に動くことが、最大の節税対策になります。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。