先日、都内に自社ビルを持つ製造業の社長から、こんな相談を受けました。「うちの固定資産税、なんか高い気がするんだよね。でも行政が決めたものだし、仕方ないかな…」

その社長、毎年約120万円を固定資産税として払っていました。詳しく調べてみると、課税明細書に地積の記載ミスがあり、さらに住宅用地特例が適用されていなかったことが判明。修正後の試算では、年間で40万円近く下がる可能性があったんです。

「え、言えば下がるの?」と驚いていましたが、これ、珍しい話じゃありません。

固定資産税の評価額、じつは間違っていることが多い

固定資産税は、市区町村が土地や建物の「評価額」をもとに計算します。この評価額は自治体が決めるものですが、膨大な件数を処理する中で、記載ミスや適用漏れが起きやすい仕組みになっています。

税務署や市区町村は、間違いを指摘されなければそのまま課税し続けます。正しい金額に直すのは申告型のシステムではなく、「気づいた人が申し出る」仕組みなのです。

毎年5〜6月ごろに届く「固定資産税・都市計画税課税明細書」、最後にちゃんと中身を確認したのはいつですか?

チェックポイント① 地積・床面積の記載ミス

まず確認すべきは、土地の地積(面積)と建物の床面積です。

登記上の数字と課税明細書の数字がズレているケースが、実は少なくありません。昔の測量が大ざっぱだったり、増改築の反映が不完全だったりすることが原因です。

土地の地積が実際より大きく記載されていれば、その分だけ余計に課税されています。まず登記事項証明書(法務局で取得可能)と課税明細書の数字を突き合わせてみてください。数字がズレていたら、市区町村の固定資産税担当窓口に問い合わせるだけで修正される場合があります。これだけで年間数万円変わることがあります。

チェックポイント② 住宅用地特例の適用漏れ

土地が「住宅用地」として使われている場合、固定資産税には強力な軽減措置があります。

200㎡以下の部分(小規模住宅用地)は固定資産税が6分の1に、200㎡超の部分(一般住宅用地)は3分の1に軽減されます。これは法律で定められた大きな特例です。

ところが、この特例が正しく適用されていないケースがあります。建物を取り壊して更地にした土地、事務所と住居が混在する複合物件、一部が事業用に転用された土地などで、特例区分の判断が誤っていることがあります。「うちは事業用だから関係ない」と思い込まず、一度確認する価値があります。社員寮や店舗付き住宅が一角にあるだけで、住宅用地特例が適用できる場合があるのです。

チェックポイント③ 建物の経年劣化による評価減の反映漏れ

固定資産税の評価額は、建物の場合「再建築価格」をベースに、経過年数に応じた「経年減点補正率」を掛けて算出されます。つまり、古い建物ほど評価額は下がるはずです。

ただし、建物の劣化が著しい場合や、実態に即した評価がなされていない場合は、評価額が本来より高止まりしていることがあります。特に建築から20年以上経過した建物、増改築の履歴が複雑な建物は要注意です。実際の状態と評価額に乖離がある場合は、専門家を通じて経年劣化の実態反映を申し出ることができます。

3年に一度の「評価替え」が勝負どころ

固定資産税の評価額は、原則として3年ごとに見直される「評価替え」の年度に更新されます(次回は2027年度)。

評価替えの年度には、固定資産評価審査委員会への審査申出が可能です。評価額に明らかな誤りや不合理な点があれば、この申出によって是正が認められるケースがあります。場合によっては、過去の過払い分が還付されることもあります。

ただし、審査申出には期限があります。評価替え年度の固定資産税の納付書が届いてから、原則として3カ月以内に申し出る必要があります。今年の明細書を受け取ったら、早めに中身を確認することをおすすめします。

不動産を持つ社長は、今すぐ明細書を引っ張り出してほしい

自社ビル、工場、社員寮、駐車場——不動産を持っている会社は、固定資産税がじわじわと経営を圧迫しています。にもかかわらず「行政が決めたことだから」と確認すらしていないケースがほとんどです。

今期の課税明細書を引っ張り出して、地積・床面積・住宅用地特例・経年劣化の4点だけでも確認してみてください。自分では判断が難しい場合は、固定資産評価に詳しい税理士や不動産鑑定士への相談が近道です。年間数十万円の節税につながるなら、専門家への相談コストは十分に回収できます。

毎年送られてくる明細書、今年こそ読んでみませんか?

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。