毎年5月になると、会社や自宅に「固定資産税の課税明細書」が届きます。封を開けずに経理担当者に渡しているか、ひとめ見て「また今年も高いな」とため息をついて終わり、という社長が多いのではないでしょうか。

でも実は、その明細書の中に「払い過ぎ」が隠れているケースが珍しくありません。

廃棄したはずの機械が、今も課税されている

固定資産税は、土地や建物だけでなく、事業用の機械や設備(いわゆる償却資産)にもかかります。製造業や飲食業など、設備投資が多い業種では、毎年かなりの金額を支払っているはずです。

問題は、すでに撤去・廃棄した設備が、課税の対象として残り続けていることがある点です。

機械を入れ替えた、工場内のラインをリノベした、厨房機器を処分した——そういった際に市区町村への申告が漏れていると、実態としては存在しない「幽霊資産」への課税がずっと続いてしまいます。

ある製造業の社長の話

先日、製造業を営む社長からこんな相談がありました。

「税理士に言われて課税明細を初めてちゃんと確認してみたら、10年前に撤去したラインが今でも資産として載っていたんです。しかもそれだけじゃなかった」

明細書に記載されている資産の一覧と、実際に工場内にある設備を照らし合わせてみると、3件の「存在しない資産」が見つかったそうです。それだけで年間の固定資産税が30万円以上、過大に課税されていたことが判明しました。

過去5年分の誤課税が認められ、約150万円が還付されたというのですから、封を開けるだけで大きな違いが出るものだと改めて感じました。

チェックに必要なのはたった2つのステップ

課税明細の見直しに必要なのは、特別なスキルでも費用でもありません。

まず、毎年5月頃に届く課税明細書を取り出します。各資産の名称・数量・評価額が一覧になっているので、償却資産の部分を確認します。

次に、実際に使用中の設備と、明細書の一覧を照らし合わせます。「この機械、もうないはずだけど?」という資産が見つかれば、申し出の対象です。過去の明細書が手元にない場合は、市区町村の担当窓口に問い合わせると、直近数年分を確認できることがあります。

申し出の手順は思ったより簡単

実態と異なる資産を発見したら、市区町村の固定資産税担当窓口に申し出るだけです。「廃棄済みの設備が課税対象に残っています」と伝えれば、手続きを案内してくれます。

廃棄時期の証明が必要になることが多いので、廃棄証明書や工事記録などを準備しておくと話が早いです。処分業者に発行してもらった書類があれば、それで十分なケースがほとんどです。

認められれば、過去にさかのぼって還付が受けられる場合があります。還付の対象期間は自治体によって異なりますが、数年分に及ぶこともあります。

「うちは関係ない」と思う前に一度だけ

設備が少ない業種だから大丈夫、と思っている社長も、一度だけ明細を見てみることをおすすめします。

飲食店でも、美容室でも、小規模な製造業でも——厨房設備や業務機器を入れ替えた経験があれば、申告漏れが生じている可能性はあります。年30万円の削減は、業種や規模によっては十分に現実的な数字です。

この確認は無料でできます。封を開けるだけで数十万円が返ってくる可能性があるとしたら、やらない理由がありません。今年届いた明細書がまだ手元にあるなら、この週末に少し時間を取って確認してみてください。不明点があれば、顧問税理士や市区町村の窓口に相談するのが一番の近道です。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。