先日、物流倉庫を3棟持つ会社の社長から、こんな話を聞きました。
「税理士に言われて固定資産税の評価額を見直したら、過去3年で約180万円の還付が受けられることになったんだよ」
最初は冗談だと思いましたが、正式な審査を経て、実際に過払い分が戻ってきたそうです。固定資産税の「過払い」——あなたの会社でも、知らないうちに起きているかもしれません。
その評価額、今の地価に見合っていますか?
固定資産税の計算のもとになる「評価額」は、3年に一度しか見直されません。これを「評価替え」と呼びます。
問題は、この評価額が実態の地価よりも高いまま据え置かれているケースが、意外と多いという点です。2000年代以降、地方の商業地や工業地帯では地価が下落し続けているエリアも少なくありません。それでも3年前の数字が使われたままだと、実勢価格との乖離が広がり、本来払わなくていい税金を払い続けることになります。
特に要チェックな物件はこれ
過払いのリスクが高い不動産には、いくつかの共通点があります。
地価が下落したエリアにある商業地・工場・倉庫は、まず真っ先に確認したい対象です。近隣に大型施設が建って地価水準が変化した土地や、建物の老朽化が進んでいるのに評価額が下がっていない物件も同様です。また、地目(田・畑・宅地など)の実態と登記上の区分がずれているケースも、評価額の誤りにつながることがあります。
製造業や物流業の社長で複数の物件を持っている方は要注意です。一棟あたりの差額が小さくても、積み上げると年間数十万円以上の過払いになることは珍しくありません。
3か月の期限を見逃さないために
毎年5月から6月にかけて、市区町村から固定資産税・都市計画税の納税通知書が届きます。この通知書が手元に届いてから3か月以内が、行動できる期限です。
「固定資産評価審査委員会」に審査の申出をすることで、評価額の妥当性について正式に異議を申し立てられます。期限を過ぎてしまうと、その年度は申出できなくなります。通知書を引き出しに入れたまま放置していると、気づいたときには手遅れということになりかねません。
今年の通知書、もう受け取りましたか?届いたばかりなら、今がまさにそのタイミングです。
認められると、5年分が戻ってくる可能性がある
審査申出が認められると、過払い分の固定資産税が還付されます。遡及できる期間は最大5年分です。
仮に年間60万円の過払いがあったとすれば、5年で300万円。気づかずに払い続けていた税金が、まとまって手元に戻ってくる計算になります。もちろん全ての申出が通るわけではありませんが、専門家が精査した結果「明らかに評価が高い」と判断されるケースは、確かに存在します。
一人で判断しようとしないこと
固定資産の評価額が妥当かどうかを自分で判断するのは、正直難しいです。路線価の読み方や固定資産評価基準の細かいルールを理解する必要があり、素人判断で「おかしい」と気づくのは容易ではありません。
こういう場面こそ、税理士や土地家屋調査士の出番です。相談の際には、納税通知書のほかに固定資産評価証明書や公図など関連書類を用意しておくと、話がスムーズに進みます。これらの書類は市区町村の税務担当窓口で取得できます。
今年の通知書を、捨てる前に一度だけ開いてみてください
5〜6月の納税通知書は、金額だけ確認してそのまま処分してしまいがちです。でも今年は、評価額の欄もひと目確認してみてください。
「この倉庫、3年前から評価額が変わっていないな」「この土地、周辺の地価より高すぎる気がする」——そんな気づきが、節税の入口になることがあります。
払いすぎた税金は、申出をしなければ戻ってきません。専門家に相談するだけで、数年分の固定資産税が返ってくる可能性があるなら、確認しない理由はないはずです。まずは今手元にある通知書を、もう一度開いてみるところから始めてみてください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。