先日、税理士の知人からこんな話を聞きました。
「顧問先の製造業の社長さんが、固定資産税の通知書を何気なく確認したら、数十万円も割高になってたんです。もっと早く気づいていれば、過去に支払った分も取り戻せたのに」
固定資産税は毎年自動的に通知が来て、口座振替で払っていればそのまま何も気にしない方が多い。でも実は、その評価額が正しくないケースが少なくないんです。
評価額は3年ごとにしか見直されない
固定資産税の課税標準となる評価額は、3年ごとの「評価替え」でしか更新されません。
直近の評価替えは2024年(令和6年)でした。次は2027年。
つまり今年2026年は、2024年の評価額がそのまま使われています。でも現実には、土地の価格が下がっていたり、建物が老朽化していたりするケースがある。にもかかわらず、評価額が実態より高いまま据え置かれ、年間数十万円単位の過払いが続いている場合があるんです。
「そんな大きな差がつくの?」と思うかもしれません。でも年間20万円の過払いが3年続けば60万円。10年なら200万円です。自社ビルや複数の不動産を持っている社長なら、なおさら影響が大きい。
評価額が実態とズレる主な理由
なぜこういうことが起きるのか。主な原因は大きく3つに分かれます。
土地については、地価の下落が評価に反映されるまでタイムラグがあります。評価替えの時点での公示地価などを基準に算定しますが、評価替え後に地価が下がっても次の評価替えまで修正されません。
建物については、経年劣化や実際の使用状況が反映されにくい構造になっています。評価額の計算は建物の構造・用途・経過年数をもとにした画一的なルールで行われるため、実際の状態とかい離することがあります。
そして意外と多いのが、そもそも評価額の計算ミス。課税当局も人間が作業するので、土地の面積・地目・用途区分などの基本データに誤りがある場合があるんです。
縦覧制度でまず実態を確認する
評価額に疑問を持ったとき、最初のステップとして使えるのが縦覧制度です。
毎年4〜5月に自治体が縦覧帳簿を開示する時期があり、この期間中は自分の土地・建物と同じ地区の他の物件の評価額を確認できます。「うちの土地だけ明らかに高くないか」を比較検討できる仕組みです。
縦覧は無料で、市区町村の役所窓口で手続きできます。固定資産税の納税通知書と本人確認書類を持参すれば、その日のうちに確認できます。
申請期限は通知書到着から3ヶ月以内
問題は、動ける期間が限られていること。
固定資産評価審査委員会への審査申出(いわゆる不服申立て)の期限は、納税通知書が届いた日から3ヶ月以内と定められています。
多くの自治体では4〜5月に通知書を発送するため、5月に届いた方であれば、申請できるのは8月頃まで。今がまさに動き時です。
この3ヶ月を過ぎてしまうと、今年の評価額への異議申立ては原則できなくなります。次の評価替え(2027年)まで、その評価額を受け入れるしかない。3年間の課税差額を考えると、見逃してはもったいない期限です。
認められれば過払い分の還付も
審査申出が認められた場合、過払いとなっていた固定資産税の還付を受けることができます。
審査は書類審査が中心で、認められる確率は案件によりさまざまですが、専門家のサポートがあれば証拠書類の揃え方から主張の組み立て方まで整理しやすくなります。
固定資産税の評価に精通した税理士や不動産鑑定士に一度相談してみることをおすすめします。「そもそも評価額がおかしいかどうか」の確認だけなら、初回相談で方向性が見えることも多いです。
今月中に、通知書を引っ張り出してみてください
固定資産税の通知書は、なんとなく開封して引き出しにしまっている方が多いと思います。
でも今年届いた通知書を改めて見直して、前年と評価額が変わっていないか、土地面積や地目の記載に誤りがないか、確認してみてください。「なんか高くない?」という感覚は、意外と正しいことがあります。
自社ビルや複数の不動産を持っている社長は特に、今月中に一度プロに相談してみる価値があります。3ヶ月の期限は、思ったより早く過ぎます。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。