先月、工場と事務所を所有する製造業の社長から、こんな相談を受けました。\n\n「毎年50万円以上の固定資産税を払っているんですが、同業者から”うちは評価額を精査してもらったら税額が下がった”と聞いて……。自分の会社も同じことができますか?」\n\n結論を先に言います。できます。そして、見直してみると2〜3割程度減るケースは珍しくありません。\n\n## 毎年届く「その封筒」、開けただけで終わっていませんか\n\n5〜6月ごろ、市区町村から固定資産税の納税通知書が届きます。\n\n金額を確認して、口座から引き落とし。あとは引き出しにしまって終わり——多くの社長がそうしているはずです。\n\nところが固定資産税は、土地・建物・償却資産の「評価額」をもとに計算されています。この評価額は市区町村が独自に算出するものですが、土地の形状、隣地との高低差、建物の経年劣化の反映など、細かい項目が積み重なるだけに、計算ミスや過大評価が混入することがあります。\n\n専門家が精査すると評価額が2〜3割下がるケースが実際に確認されています。仮に評価額5,000万円の物件が3割過大評価されていたとすれば、税率1.4%で計算すると年間21万円、10年で210万円ほど払いすぎている計算になります。\n\n## 異議を申し立てる制度が、ちゃんとある\n\n「市区町村の算定に口を出すなんて……」と思う方が多いのですが、実は固定資産評価審査申出という正式な制度があります。\n\n評価額に不服がある場合、市区町村に設置された固定資産評価審査委員会に対して審査を申し出ることができます。認められれば、評価額の修正とそれに伴う税額の還付が受けられます。\n\nただし、この手続きには厳しい期限があります。納税通知書を受け取った日から3か月以内に申請しなければなりません。この期間を1日でも過ぎると、その年については争う手段が失われます。\n\n封筒が届いたら「今日から3か月のカウントダウンが始まった」と認識してください。\n\n## 2027年に向けて、今から準備する意味\n\n固定資産税の評価額は、3年ごとに全面的に見直される「評価替え」制度のもとで動いています。直近の評価替えは2024年度で、次は2027年度です。\n\n評価替えの年は評価額全体が洗い直されるため、過大評価を修正してもらう絶好のタイミングになります。2027年の通知書が届いてから動こうとしても、申請期限は3か月しかありません。今のうちに不動産鑑定士や税理士と相談しておくことで、準備に余裕が生まれます。\n\nまた、評価替えの年でなくても、土地の利用状況が変わったり建物の一部が取り壊されたりした場合には、個別に評価の見直しを求められるケースもあります。自社の固定資産台帳と通知書を一度突き合わせて確認してみることをおすすめします。\n\n## 具体的に何から動けばいいか\n\nまず市区町村の窓口で「固定資産課税台帳」の縦覧・閲覧を請求します。これで評価額の算出根拠を確認できます。縦覧期間は毎年4〜5月に設けられていることが多く、今年分を逃した方は来年の縦覧期間を狙ってください。\n\n次に、疑問点があれば不動産鑑定士や税理士に相談するのが近道です。「過払いかもしれない」という感覚だけで申請しても、根拠がなければ認められません。専門家に精査してもらうことで、審査申出の成功確率が大きく変わります。\n\n費用対効果で見ると、10年分の節税額が専門家費用を上回るケースは十分にあります。\n\n## 今、通知書はどこにありますか\n\n5〜6月はちょうど通知書が届く時期です。引き出しにしまう前に、一度だけ立ち止まってください。\n\n特に、複数の土地・建物を所有している会社、築年数の古い建物を抱えている会社、前回の評価替えからすでに2年以上経過している会社は、今すぐ専門家に声をかけることをおすすめします。\n\n払いすぎた税金を取り戻せる窓口は、1年に一度しか開きません。しかも3か月しか続かない。今年の通知書がまだ手元にある間に、動いてください。\n\n※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。
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