先日、製造業を営む社長から「固定資産税って、毎年言われた通りに払えばいいですよね?」と聞かれました。

「疑ったことはありますか?」と逆に聞いてみると、「そういえば一度もないですね」という答え。これ、実は多くの経営者に共通することなんです。

100万円以上、誰も「おかしい」と言わなかった

愛知で工場を持つ製造業のAさんは、毎年100万円を超える固定資産税を何年も払い続けていました。

決して安い金額ではありません。でも「行政が計算した税額だから正しいはず」と、疑うことなくずっと払い続けていた。顧問税理士もいましたが、固定資産税の評価明細まで細かく確認する機会はなかったそうです。これは珍しいことではなく、多くの会社で同じことが起きています。

評価明細を開いたら、そこに「誤り」があった

転機は、節税に詳しい専門家に評価明細書を精査してもらったときです。

評価明細書とは、市区町村が固定資産の課税標準額を算出するための明細書のこと。Aさんの工場建物の評価を確認していくと、課税標準額の計算に誤りが見つかりました。建物の構造区分や経年減価の適用が、実態と合っていなかったのです。

こういった誤りは、法人の約20%に潜んでいると言われています。5社に1社の割合です。Aさんは「まさか自分の会社が」と驚いていましたが、むしろそういう反応の方が多い。だからこそ、見落とされ続けるんですよね。

正当な手続きで、年30万円が減額された

Aさんが取った行動は、固定資産評価審査委員会への審査申出です。

これは法律に基づいた正式な不服申立て制度で、固定資産の評価に誤りがある場合、市区町村に対して審査を求めることができます。特別な裏技でも複雑な節税スキームでもなく、正当な権利として認められている手続きです。

審査の結果、課税標準額が適正に修正され、Aさんの年間固定資産税は30万円の減額になりました。何十年も気づかなければ、数百万円を払い続けていた可能性がある。そう考えると、早めに動いて本当によかったとAさんは言っていました。

5月の通知書が届いたら、まず明細を確認する

固定資産税の納税通知書は、毎年4月から5月にかけて届きます。通知書と一緒に送られてくる「課税明細書」には、土地や建物ごとの課税標準額が記載されています。

まずここを開いて、所有する不動産の状況と照らし合わせてみてください。チェックするポイントは主に3つです。

  • 建物の構造(木造・鉄骨・RCなど)が実態と合っているか
  • 用途区分(事務所・工場・倉庫など)が正しく分類されているか
  • すでに取り壊した建物や設備が、まだ課税対象として残っていないか

自分では判断しにくい場合は、固定資産税に詳しい税理士や専門家に評価明細の精査を依頼するのが確実です。審査申出には納税通知書を受け取った翌日から3ヶ月以内という期限があります。気になることがあれば、早めに動くことが重要です。

「払ってきた」はリセットできないが、「これから」は変えられる

Aさんが過払いに気づけたのは、誰かが評価明細を「疑う目で見た」からです。行政の計算が常に正確とは限りません。悪意があるわけではなく、膨大な件数を処理する中で起きる、構造的な問題です。

固定資産を多く持つ製造業・不動産業・倉庫業の経営者は、特に確認する価値があります。年30万円の減額が10年続けば300万円。それを設備投資や人材育成に回せると考えると、確認しない理由はないはずです。

今期の通知書が届いたら、ぜひ明細書を一度開いてみてください。「これ、正しいのかな」と感じたら、それが動くサインです。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。