「税理士に任せているから大丈夫」と思っている社長ほど、実はもったいないことをしているケースがあります。

先日、年商3億円の建設会社の社長から連絡が来ました。「決算が終わって申告書が届いたんだけど、もっと節税できたんじゃないかと思って…」という内容でした。

税務署に提出した後に後悔しても、残念ながら手遅れです。決算書には、意外と見落とされやすい節税ポイントが潜んでいます。特に活用されていないものを3つ、ランキング形式でお伝えします。

第3位:50万円の経費が消えている「未払費用の計上漏れ」

まず多いのが、決算月末に発生した費用の処理ミスです。

たとえば3月決算の会社が、3月31日に外注業者に仕事を依頼した。請求書は4月に届いて、支払いも4月。こういうケースで「4月の経費だ」と処理してしまっている会社が非常に多い。

税務上は「費用が発生した時点」で経費計上できます。3月末にサービスの提供が完了していれば、支払いが翌月でも3月の決算に計上可能です。これが「未払費用」の考え方です。

家賃、外注費、コンサルティング費用など、月末に発生している費用を一度洗い出してみてください。仮に50万円の計上漏れがあれば、実効税率22〜34%として11〜17万円の節税効果が生まれます。必要なのは「いつサービスが完了したか」を示す契約書や業務報告書の保管です。

第2位:決算後は修正不可「減価償却の過小計上」

次に見落とされやすいのが、減価償却です。

設備や機械を購入したとき、その費用を数年に分けて経費化するのが減価償却ですが、「限度額まで必ず償却しなければいけない」わけではないため、担当者の認識不足や会計ソフトの設定ミスで限度額を下回る計上になっているケースが少なくありません。

100万円の設備を法定耐用年数に沿ってフル償却すれば、節税額は年間22〜34万円になります。これを複数の設備で積み上げると、けっこうな金額になります。

そして絶対に覚えておいてほしいのが、「決算確定後は修正できない」という点です。一度申告してしまったら、その年度の減価償却を後から増やすことはできません。決算前に必ず確認する習慣をつけてください。

第1位:改正されたのに活用率わずか12%「交際費の飲食費」

そして1位は、2024年4月から改正された交際費ルールです。

知っている社長も多いはずなのに、実際の活用率はたった12%。理由のひとつは「ルール改正を知らない」こと、もうひとつは「記録を残す手間を嫌がっている」ことです。

以前は「1人あたり5,000円以下」の飲食費が損金算入の基準でしたが、2024年4月1日以降は「1人あたり1万円以下」に引き上げられました。ランチミーティングや軽い接待なら、ほぼすべてカバーできます。

年間30万円の計上増が実現できれば、最大約10万円の節税になります。必要なのは、レシートと「誰と、何のために食事したか」のメモだけ。手間対効果として、これほどコスパの高い節税策はなかなかありません。

決算前に確認したい3つのポイント

3つを振り返ると、どれも「知っているかどうか」の差です。特に交際費の改正は、記録さえ残せば今日から始められます。

次の決算前に、顧問税理士に以下の3点を確認してみてください。

  • 月末発生の外注費・家賃などが未払費用として計上されているか
  • 各設備の減価償却が限度額まで計上されているか
  • 1人あたり1万円以下の飲食費を交際費として漏れなく処理しているか

決算書は「過去の記録」ではなく、「節税の設計図」です。申告後に後悔しないためにも、決算の2〜3ヶ月前から動き出すのが理想的です。まだこれらのチェックをしていないなら、次の決算サイクルで必ず取り入れてみてください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。