5月になると、自動車税の納付書が届きますよね。排気量によっては3万円、4万円と、なかなかの出費です。「今年もこの季節か」とため息をついている社長も多いのではないでしょうか。
先日、こんな相談がありました。年商2億円の建設会社を経営するA社長。「車は仕事でもほぼ毎日使っているんだけど、税金や保険は個人で払ってるんだよね」と。聞けば、法人の業務に使っている車が個人名義のまま。自動車税も保険料もガソリン代も、すべて自分のお財布から出していたんです。
これ、かなりもったいない話です。
法人名義にするだけで、車にかかる費用が全部経費になる
法人名義の車であれば、その車にかかる費用を会社の経費として計上できます。対象になるのは、自動車税・重量税はもちろん、自賠責・任意保険、ガソリン代・高速代、車検費用・修理代など、車を維持するためのほぼすべての支出です。
これらを合計すると、1台あたり年間100〜150万円になることも珍しくありません。仮に年間の車関連経費が130万円で、実効税率が25%だとすると、節税額は約32万円。5年乗るだけで160万円の差がつく計算です。毎年払っている自動車税の何十倍もの金額が、制度を使うか使わないかだけで変わってくるんです。
プライベートと兼用でも大丈夫
「でも、週末はプライベートでも使うし…」という方、ご安心ください。
プライベートと業務の兼用であっても、業務使用割合に応じた部分を経費計上することができます。たとえば業務使用割合が8割なら、車関連経費の80%を経費として認められます。完全に会社専用でなくても、十分な節税効果が得られるわけです。
ただし、ここが大切なポイントです。使用割合の根拠を記録しておく必要があります。日付・訪問先・走行距離を記した走行日誌をつけておくのが最も確実な方法です。「だいたい8割は仕事で使っています」という口頭説明だけでは、税務調査で否認されるリスクがあります。スマートフォンのマップ履歴を補助的に使う方もいますが、きちんとした記録があるかどうかが問われる場面が来ることを忘れないでください。
個人名義から法人名義に移すときの注意点
「さっそく法人名義に変えよう」と思った方、少し手順の確認が必要です。
個人名義から法人名義に車を移す場合、社長個人が会社に車を「売る」形の売買契約を結ぶことになります。この際、売却価格を適正に設定しないと税務上の問題が生じることがあります。一般的には中古車市場の査定額を参考に設定しますが、具体的な金額は顧問税理士と相談しながら進めるのが安心です。
一方、新たに法人で車を購入またはリースする場合は、最初から法人名義にするのがシンプルでおすすめです。次の買い替えのタイミングで切り替えを検討してみてください。
経費化できる範囲は事業内容によって変わる
注意しておきたいのは、「どこまで経費にできるか」は一律ではないという点です。
外回りの多い営業職や建設・不動産業であれば、車を業務で使うことへの説明がつきやすい。一方で、デスクワーク中心の事業では、同じ使用割合であっても税務署の目が厳しくなる可能性があります。実態に即した計上が前提ですが、逆に言えば、実際に業務で使っているにもかかわらず経費化していないのは純粋に損です。
使用割合の設定や計上できる費用の範囲は、事業の種類や車の使われ方によって変わりますので、一度顧問税理士と現状を確認してみることをおすすめします。
毎月の細かい出費を節約するより、こうした仕組みの見直しのほうが一気に数十万円の差が出ます。5月の自動車税の納付書が届いたこのタイミングで、ぜひ「この車、法人に移せないか」を顧問税理士に相談してみてください。たった一度の確認が、毎年30万円以上の節税につながるかもしれません。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。