先日、年商3億円の工務店を経営する社長から、こんな相談を受けました。

「取引先との飲み食いに年間100万円以上かけているのに、半分は自腹なんですよ。証拠が残しにくいから、怖くて経費にできなくて」

これ、実はよくある話です。接待費を「グレーゾーン」だと思い込んで、長年損をし続けている社長が本当に多い。でも実際には、たった5つの項目を記録するだけで全額経費にできる制度が、税法にきちんと用意されています。

接待費が「自腹」になる本当の理由

多くの社長が接待費を経費にしにくいと感じる理由は、「何を記録すればいいかわからない」という一点に尽きます。

「領収書さえあれば大丈夫でしょ?」と思いがちですが、税務調査では飲食代の場合、業務との関係性を説明できる追加情報が必要です。逆に言えば、必要な情報を残しておけば、まったく怖くありません。

全額経費化に必要な「5項目」とは

法人税法上、接待飲食費を損金算入するために記録が求められる項目は次の5つです。

  1. 飲食の年月日
  2. 参加者の氏名と自社との関係
  3. 参加人数
  4. 飲食店の名称と住所
  5. 金額

これをレシートの裏に手書きでメモするだけでOKです。スマートフォンのメモアプリや、Googleスプレッドシートで管理している社長も増えています。会食が終わったその日のうちに記録する習慣をつければ、5分もかかりません。

2024年4月の改正で「1万円以下は別枠」になった

さらに、2024年4月から見逃せない改正が始まっています。

1人あたり1万円以下の飲食費については、交際費の限度額計算から外れるようになりました。資本金1億円以下の中小企業はもともと800万円まで全額損金算入の優遇がありますが、この改正によって管理がさらにシンプルになります。

いつものランチミーティングや軽い接待も、5項目の記録さえあれば安心して経費計上できます。

工務店社長の実例:年100万円が翌年から全額経費に

冒頭の工務店の社長は、税理士のアドバイスで翌期から5項目記録を徹底しました。

それまで「怖いから自腹」にしていた年間100万円が、翌年からは全額損金算入。法人税の実効税率を23〜34%とすると、それだけで年間23〜34万円の節税になります。「やってみたら全然難しくなかった」とのことでした。記録が習慣になると、飲食後すぐメモするのが当たり前になるものです。

今すぐ始める3ステップ

難しく考える必要はありません。以下の順番で動くだけです。

まず、自社の年間接待費の実態を確認してください。意外と「自腹」にしている金額が積み上がっているはずです。次に、ExcelかGoogleスプレッドシートで「日付・相手・人数・店名・金額」の5列を作ります。最後に、財布のレシートを週に一度でもそこに転記する習慣をつける。これだけです。

接待費の経費化を後回しにしている社長は、気づかないうちに年間数十万円を捨てているかもしれません。5項目の記録フォーマットをまだ作っていないなら、今期中に整備しておくことをおすすめします。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。