先日、年商3億の建設業を営む社長から「毎年5月に自動車税の通知書が来るんですが、これって会社の経費にできますか?」という相談を受けました。
「条件を満たしていれば、全額経費にできます」とお伝えすると、「え、全額?按分じゃないの?」と少し驚かれていました。
意外とこの話を正確に知らない社長が多いんですよね。毎年確実に発生する自動車税。普通乗用車でも年間数万円になりますから、5年・10年単位で考えるとバカにならない金額です。今日は、法人で全額経費にするための条件を整理しておきます。
自動車税、いくらかかっている?
自動車税は、毎年4月1日時点で車を所有している人に課される地方税です。排気量によって税額が異なり、2,000cc以下の車なら年間36,000〜45,000円ほど(登録時期によって異なります)。3,000ccを超えると年間6万〜10万円以上になることも珍しくありません。
社長が使っているような高級セダンやSUVであれば、自動車税だけで毎年7〜10万円は覚悟したほうがいいでしょう。これが全額経費になるかどうかは、かなりの差です。
全額経費にするための3つの条件
結論から言います。自動車税を法人で全額経費にするには、以下の3つが必要です。
① 法人名義で登録されていること
これが最大の前提条件です。個人名義のまま「社用として使っている」だけでは、原則として全額経費にはなりません。業務割合に応じた按分処理が必要になります。
逆に言えば、法人名義になっていれば、それだけでまず第一ハードルはクリアです。
② 実際に業務で使用していること
法人名義であっても、実態としてプライベート用途がメインなら税務調査で問題になります。「会社名義だから全部経費」という考え方は危険です。業務目的で使っているという実態が伴っていることが必要です。
③ 走行記録を残していること
この3つ目が、最も見落とされやすいポイントです。
業務で使っているという事実は、口頭では証明できません。走行日時・行き先・目的・走行距離などを記録した「走行日誌」が、税務調査での証拠になります。専用のスマホアプリを使っている方もいますし、ノートに手書きでも構いません。「記録があるかどうか」が、経費として認められるかどうかの分岐点になります。
個人名義のままにしているとどうなる?
「今、自分の車を会社でも使っているんですが…」という相談はよく受けます。この場合、全額経費にはなりません。
税務上は「個人所有の資産を会社が使っている」という整理になり、業務使用割合で按分することになります。走行記録から業務割合を算出し、その割合分だけを経費として計上するかたちです。記録がなければ、業務割合を証明できず「全額プライベート使用」と見なされるリスクもあります。
今からでも動ける2つの選択肢
すでに個人名義で車を所有している社長には、主に2つの選択肢があります。
選択肢A:法人に名義変更する
手続き自体は複雑ではありませんが、ローンの残高がある場合は金融機関との調整が必要なこともあります。任意保険の名義変更も忘れずに。
選択肢B:個人名義のまま業務使用として按分する
すぐに名義変更が難しい場合はこちら。走行記録を今日からでもつけ始めることで、業務割合を根拠づけることができます。
どちらが有利かは、車の取得状況や使用実態によって変わりますので、顧問税理士と相談しながら判断することをおすすめします。
5月の通知書が届いたら確認すること
自動車税の通知書が届く5月は、自社の車の経費処理を見直すいいタイミングです。
- 法人名義になっているか
- 走行記録をつけているか
- 個人名義の車を社用として使っていないか
この3点をチェックして、一つでも「できていない」ものがあれば、今期中に整備しておきましょう。毎年数万円の積み重ねが、税務調査での指摘に発展することもあります。小さな手間で大きなリスクを回避できるなら、やらない理由はありません。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。