先日、創業12年の飲食店オーナーからこんな話を聞きました。「うち、一度も税務調査が来たことないんですよね」——最初は自慢話のように語ってくれたのですが、私がいくつか質問をするうちに、だんだん表情が曇っていきました。
税務調査は完全にランダムではありません。毎年、税務署は膨大な申告データを分析し、「確認が必要な会社」を絞り込んでいます。そこには、一定のパターンがあります。
「うちは大丈夫」と思っている方こそ、ぜひ最後まで読んでみてください。
第3位:現金売上が多い業種
飲食・建設・美容——これらの業種は、税務署が特に注目しやすいカテゴリーです。
現金取引はカードや振込と違い、記録が残りにくい。だからこそ「売上を除外しているのではないか」と疑われやすくなります。調査官が特に気にするのは、レジの記録と帳簿の整合性です。
たとえば、日々のレジの「Z読み(日計表)」が保存されていない、売上帳とレジの合計が微妙にズレているといった状態が続くと、調査の対象として浮かび上がってきます。業種的に避けられないとしても、記録の管理だけは丁寧にしておくことが、自分を守る最低限の備えです。
第2位:前年比で売上が大きく変動した会社
売上が急増した年も、急減した年も、どちらも調査対象になりやすいという事実は、意外と知られていません。
増えた場合は「申告漏れがあるのでは」、減った場合は「経費の水増しや売上隠しがあるのでは」——そう見られることがあります。変動幅が大きいほど、理由の説明が求められると思っておいてください。
大切なのは、変動の理由を証明できる書類を残しておくことです。新規取引先との契約書、拠点閉鎖の記録、補助金の受給通知——そういった資料が揃っていれば、調査官からの質問にも落ち着いて対応できます。「去年は売上が大きく動いた」という会社は、今期の決算前に一度整理しておくことをおすすめします。
第1位:長年、税務調査を受けていない会社
そして最も重要なのが、これです。
税務調査は同じ会社に毎年来るわけではなく、一度入ると数年は外れることが多い。ところが無調査期間が5年、10年と積み上がると、逆に「そろそろ確認が必要な会社」として優先度が上がってきます。
冒頭の飲食店オーナーは、創業12年で一度も調査を受けたことがなかった。業種は現金取引が中心の飲食業で、コロナ禍明けの2023年に売上が大きく回復した年もあったといいます。3つの特徴が重なっている状態です。
「ずっと調査が来ていない」は安心材料ではなく、むしろリスクのサインかもしれません。長年無調査が続いている会社の社長こそ、早めに顧問税理士へ相談することをおすすめします。
「うちは問題ない」という思い込みが、実は一番危ないパターンです。税務調査は突然やってきます。準備できている会社とそうでない会社では、調査後の結果が大きく変わります。
今期の決算を迎える前に、「調査が来たらどうなるか」を一度シミュレーションしておいてください。顧問税理士と30分話すだけで、見えてくるリスクがあるはずです。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。