先日、起業して3年目の社長から、こんな話を聞きました。
「自動車税の請求書が来るたびに、ぼーっと払っていたんですけど、これって経費になるんですか?」
なります。しかも、法人名義の車であれば全額経費になります。
毎年5月になると、自動車税の納付書が届きます。普通乗用車なら年間3〜5万円、排気量の大きな車だともう少し高い。なんとなく「税金だから仕方ない」と個人のお財布から払っている社長も少なくないのですが、実はここに見落としやすい節税ポイントがあります。
法人名義の車なら、自動車税は全額損金算入
法人(会社)名義で登録されている車にかかる自動車税は、全額を損金算入できます。損金算入とは、税務上の経費として認められるということです。
なぜこれが節税になるのかというと、法人税の計算は「売上 − 経費 = 利益」に対して行われるからです。経費が増えれば利益が減り、支払う法人税も減る。シンプルな仕組みです。
中小法人の実効税率はおよそ22%です。年間5万円の自動車税を経費計上すると、5万円 × 22% = 約1万1,000円の節税になります。
「1万1千円か、大したことないな」と思うかもしれません。でも、これが10年続いたら11万円です。特別な手続きも複雑な仕組みも不要で、ただ「法人名義で登録されている」というだけで自動的に損金算入できる。この積み重ねは意外と馬鹿にできません。
落とし穴は「個人名義」のまま使い続けること
ここで注意してほしいのが、個人名義のままで車を業務に使っているケースです。
社長個人が所有する車を会社の仕事でも使っている場合、自動車税を会社の経費として計上するには「業務使用割合」に応じた按分が必要になります。走行距離や使用頻度から、プライベート分と業務分を分けて計算しなければならず、手間もかかりますし、税務調査でも見られやすいポイントになります。
一方、法人名義に切り替えてしまえば、原則として全額が経費です。車検費用、任意保険、ガソリン代、駐車場代なども同様に経費処理できます。自動車税はそのうちのひとつに過ぎませんが、全体として見ると法人名義のほうが節税効果は大きくなります。
名義変更のタイミングと実務
では、個人名義の車を法人名義に変更するにはどうすればいいのか。
基本的には、会社が個人(社長)から車を「購入する」か「リース契約に切り替える」という形を取ります。購入の場合は適切な時価での売買が必要で、あまりに安すぎると「みなし給与」とみなされる可能性があります。税理士に相談の上、適正な価格で処理するのが安全です。
車を新規で購入するタイミングなら話は簡単です。最初から会社名義で購入すればいい。事業拡大に伴って車を買い替える予定がある方は、次の購入から法人名義に切り替えることを強くおすすめします。
自動車税以外にも広がる節税効果
法人名義の車には、自動車税以外にもさまざまな費用が経費化できます。整理すると次のようなものです。
- 自動車税・自動車重量税
- 任意保険料(自動車保険)
- 車検費用・整備費用
- ガソリン代・高速代
- 駐車場代(月極含む)
- カーナビなどのオプション費用
これらをすべて会社の経費にできるとなると、年間の節税額は自動車税の1万円どころの話ではなくなります。トータルで考えると、法人名義での車両管理は節税の基本中の基本です。
今期の自動車税、まだ間に合う
5月に届いた自動車税の納付書を、もう払ってしまった方も多いと思います。でも大丈夫です。法人名義で登録されている車であれば、その支出は経費として記帳できます。領収書(または振込明細)を保管しておいて、今期の決算で漏れなく計上してください。
もし「うちの車、個人名義のままかもしれない」という方は、一度確認してみることをおすすめします。名義変更の手間はかかりますが、長期的な節税効果を考えれば十分に元が取れる手続きです。まずは顧問税理士に現状を相談してみてください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。