先日、建設業を営む社長からこんな相談を受けました。「毎年5月に自動車税の通知が届くんですが、これって会社の経費にできますか?」
答えはシンプルです。法人名義の社用車であれば、自動車税はもちろん、ガソリン代から車検費用まで幅広く経費計上できます。うまく活用すれば、年間30万円前後の節税も十分に狙えます。
社用車で経費にできるものを整理する
法人名義の車で経費計上できる費用は、思っているより多岐にわたります。
自動車税(普通乗用車2000cc以下で年間約3〜4万円)、ガソリン代・高速道路代、車検・修理費用、自動車保険料(任意保険含む)、月極駐車場代、そして購入費用の減価償却費。
これらを合計すると、年間100〜120万円以上になることは珍しくありません。法人税の実効税率が25%であれば、それだけで年間25〜30万円の節税につながる計算です。
毎月払っているガソリン代や保険料が、きちんと経費に算入できているか。一度確認してみる価値があります。
「全額経費」は危険。使用割合の按分が必要
ただし、注意点が一つあります。
週末に家族で使ったり、プライベートでも乗るケースでは、その全額を経費にすることはできません。業務と私用が混在する場合は「業務使用割合」で按分して、業務分だけを経費計上するルールがあります。
たとえば、走行距離ベースで業務70%・私用30%であれば、ガソリン代や保険料の70%のみが経費計上できます。
この割合を証明するために有効なのが「運転日報」です。日付・行先・目的・走行距離をシンプルに記録しておくだけで、万が一の税務調査時にも根拠として使えます。「正直、多少は私用でも乗っている」という社長ほど、記録を残す習慣をつけておくことをおすすめします。
個人名義の車を仕事に使っている社長は損をしている
意外と多いのが、「車は個人名義だけど、客先への移動で毎日使っている」というパターンです。
個人名義の場合、会社から実費相当を精算することはできますが、法人名義と比べると経費計上できる幅が大きく異なります。法人名義であれば減価償却費や保険料も含めてトータルで経費計上できるため、節税効果の差は歴然です。
今の車を会社に売却(または現物出資)して法人名義に切り替えるという方法もあります。名義変更には手続きが必要ですが、税務メリットを考えれば検討する価値は十分あります。具体的な進め方は顧問税理士と相談してみてください。
電気自動車・環境対応車ならさらなるメリットも
最近、社用車にEVを選ぶ社長も増えてきました。
環境対応車は「グリーン化特例」による自動車税や重量税の軽減対象になることがあります。また、一定条件を満たす場合、中小企業経営強化税制の対象として即時償却(取得費用を初年度に全額費用化)ができるケースもあります。
節税と環境対応を両立できる可能性がある選択肢として、次の車の買い替えタイミングで頭に入れておくといいでしょう。
5月の通知が届いたら、今期中に動く
自動車税の通知書が届くこの時期は、社用車の税務処理を見直す絶好のタイミングです。
法人名義になっているか、按分の割合は適切か、運転日報はつけているか。この3点を確認するだけで、漏れていた節税を取り戻せることがあります。
個人名義のまま使い続けている社長は、今期中に法人名義への切り替えを検討してみてください。一度整理しておけば、毎年の節税効果として積み重なっていきます。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。