先日、会社を設立したばかりの社長からLINEが届きました。「登記や口座開設でバタバタしていたら、もう3ヶ月が過ぎそうで……何か急いでやることってありますか?」
その一言に、思わず「実はめちゃくちゃ大事な時期です」と返してしまいました。
法人設立直後、とくに最初の3ヶ月は節税の勝負どころです。この時期に手を打てるかどうかで、1年目の税負担が大きく変わります。今日は、私が社長にまず最初に伝える節税TOP3をお話しします。
第3位:30万円未満の備品は買った年に全額落とす
通常、事業で使うパソコンや机、カメラなどの備品は「減価償却」といって、何年かに分けて経費にするのが原則です。10万円のパソコンを3年で償却すると、1年あたりたった3万円ちょっとしか経費にできません。
でも、中小企業には「少額減価償却資産の特例」という制度があります。30万円未満の備品なら、購入した年に全額を即時経費として計上できるんです。
設立直後は備品の購入が集中しやすい時期。ノートPC・プリンター・デスク・モニターといった購入をひとつの期にまとめ、全部その期の経費に落とすことで、利益を一気に圧縮できます。年間合計300万円まで使えますから、初期投資が多い社長には特に活用しやすい制度です。
適用できるのは資本金1億円以下の中小企業に限られます。大企業は対象外なのでご注意を。
第2位:自宅家賃の大部分を法人経費にする「役員社宅」
自宅の家賃を個人で払い続けている社長は多いですが、会社が物件を借り上げて役員に貸す「役員社宅」の形にするだけで、家賃の大部分を法人経費にできます。
仕組みはシンプルで、会社がマンションを借り上げ、役員本人は「国税庁の計算式で算出した賃貸料相当額」だけを会社に支払う形になります。この賃貸料相当額は、実際の家賃よりかなり低い金額になることがほとんどです。たとえば月20万円の物件でも、自己負担は月3〜5万円程度で済むこともあります。
差額の15〜17万円が丸ごと法人経費。年間にすると180〜200万円以上の節税効果が出るケースもあります。
ただし、すでに個人名義で住んでいる物件への適用は難しいのが現実です。引っ越しや更新のタイミングに合わせて制度を導入するのがスムーズで、設立直後にこれから物件を探すなら、最初から会社名義で契約するのが理想的です。
第1位:役員報酬は設立から3ヶ月以内に決める(これが最重要)
ここが一番大事な話です。
役員報酬は「定期同額給与」といって、事業年度を通じて毎月同じ金額を支払うのが原則です。そして、その金額を変更できるタイミングは、原則として事業年度の開始から3ヶ月以内だけ。この期限を過ぎてから増減しても、差額分は損金(経費)として認められません。
「利益が想定より出そうだから報酬を増やそう」と思っても、3ヶ月を過ぎていたら手遅れです。増やした分は会社の経費にならず、そのまま法人税の課税対象になります。
なぜ報酬設計が節税になるかというと、法人税と個人の所得税・住民税では税率の構造が違うからです。所得800万円以下の中小企業の法人実効税率は約23〜25%程度ですが、個人の所得税は累進課税で高所得になるほど税率が上がります。社長個人の所得と法人の所得を上手に分散させることで、全体の税負担を最小化できるわけです。
「いくら報酬を取るべきか」は、会社の利益見込み・社長の個人所得・社会保険料の兼ね合いで変わります。設立直後は予測が難しいからこそ、早めに税理士とシミュレーションしておくことが重要です。
設立直後は登記や各種手続きで頭がいっぱいになりがちですが、特に役員報酬の設定は「3ヶ月以内」という取り返しのつかない期限があります。他の2つも早めに検討できればベストですが、まず役員報酬だけは期限内に必ず動くようにしてください。設立から日が浅い今のうちに、一度税理士に相談してみることをおすすめします。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。