先日、年商3億円の建設業の社長からこんな相談を受けました。

「個人で収益不動産を持ってるんですが、税金が思ったより全然残らなくて。法人で買い直した方がいいって聞いたんですが、本当ですか?」

これ、本当です。しかも、想像以上に差がつきます。

今回は法人で不動産を持つことの節税メリットを、インパクトが大きい順にご紹介していきます。

3位:経費として落とせる範囲が、個人より圧倒的に広い

個人で不動産を保有した場合、経費にできるのは主に「管理費」「固定資産税」「借入利息」「減価償却費」といった項目です。それ自体は悪くないのですが、法人であれば「修繕費」「交通費」「通信費」「接待交際費」なども不動産管理に関連する費用として処理しやすくなります。

個人オーナーは「これ、経費になるの?」と毎回悩む場面が多いのですが、法人格を持つことでその判断のフィールドが格段に広がります。一つひとつは小さな差でも、毎年積み重なると5年・10年で大きな額になります。

2位:減価償却費で「意図的な帳簿赤字」が作れる

あまり広く知られていないのですが、これが法人不動産の隠れた強みです。

建物は年々価値が減るという前提のもと、帳簿上で毎年「減価償却費」を計上できます。実際にお金が出ていくわけではないのに、帳簿上は損失として計上されるという仕組みです。

この「帳簿上の赤字」が法人の中にあると、本業の利益と相殺できます。たとえば、本業で1,500万円の利益が出ていても、不動産の減価償却で500万円の帳簿損失が立てば、課税対象は1,000万円になります。個人の場合も不動産所得と他の所得の損益通算は可能ですが、条件が限られており、法人ほどの自由度はありません。

1位:税率の差が、すべてを決める

1位〜3位は全部大切なのですが、「なぜ法人が圧倒的に有利か」を一言で言えば、この税率の差に尽きます。

個人の所得税は累進課税です。所得が増えるほど税率が上がり、住民税を合わせると最高55%に達します。稼いだ利益の半分以上が税金として持っていかれる計算です。

一方、法人の実効税率(法人税・住民税・事業税の合計)は、中小企業で約23〜30%程度。資本金1億円以下の法人は軽減税率が適用され、利益800万円以下の部分の実効税率は20%台前半に抑えられます。

同じ1,000万円の不動産収益で比べると、個人なら手取り約450〜500万円、法人なら約700〜770万円。この差が毎年積み上がれば、10年後には雲泥の差です。

法人不動産のデメリットも正直に言います

メリットだけをお伝えするのはフェアではないので、注意点も。

法人を設立・維持するには固定コストがかかります。登記費用に20〜30万円、法人住民税(均等割)が年7万円から、税理士費用が年30〜60万円程度と、毎年一定の出費が発生します。また、法人内のお金を個人で使うには役員報酬や配当という形で引き出すことになり、そこにも課税が生じます。

さらに、すでに個人名義で持っている不動産を法人に移す場合は、不動産取得税・登録免許税・消費税(場合によっては)が発生します。「個人→法人への移転」はコストシミュレーションなしに動いてはいけません。

こんな社長に特に向いている

法人不動産が特にフィットするのは、法人の年間利益が1,000万円を超えている方、または今後複数の不動産を保有していく計画がある方です。利益規模が小さいと、法人維持コストがメリットを上回ることがあります。

「とりあえず節税したい」という動機だけで動くと、キャッシュフローがかえって悪化するケースもあります。不動産投資は長期戦ですから、購入前の段階から税理士と一緒に出口戦略(売却時の税負担)まで含めて設計することが何より大切です。

会社の利益がある程度まとまってきたなら、一度「法人で不動産を持った場合のシミュレーション」を税理士に依頼してみてください。数字を並べてみると、思っていた以上に差が出ることに気づくはずです。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。