「うちはちゃんと経費を使っていますよ」\n\nそう言いながら、毎年100万円以上を”経費にできたはずの支出”として見逃している社長が、思いのほか多いです。\n\n複雑な節税スキームの話ではありません。知っていれば当たり前のように使えるのに、「そもそも検討していなかった」という純粋な見落としです。\n\n今回は、税理士がよく目にする「もったいない経費の見落とし」を5つ、具体的な金額と注意点を交えてお伝えします。\n\n## 第5位:スマホ・PCは「業務割合」で按分できる\n\nプライベートと仕事の両方でスマホを使っている社長は多いですが、「個人名義だから経費にならない」と思い込んでいるケースがあります。\n\n実際には、業務に使っている割合を按分して経費計上することができます。個人名義の端末でも、業務使用の実態があれば問題ありません。\n\n月1万5,000円のスマホ代を70%按分すれば、年間で約12万6,000円が経費になります。「たかがスマホ」と感じるかもしれませんが、PCや通信費と合わせると無視できない金額になります。\n\nただし按分割合の根拠は残しておきましょう。通話ログや業務利用の記録があると、税務調査の際も安心です。\n\n## 第4位:自家用車を法人名義にすると、走るたびに経費になる\n\n社長が普段乗っている車、個人名義のままになっていませんか?\n\n法人名義に変更(またはリース契約に切り替え)することで、ガソリン代・駐車場代・高速代・車検・保険料まで、すべて法人の経費として計上できます。\n\n年間のガソリン代が30万円、駐車場が月2万円(年24万円)だとすれば、それだけで年54万円が経費化できます。減価償却も加わりますから、効果はかなり大きいです。\n\nプライベートでも使う場合は業務割合での按分が必要です。「通勤のみ業務」と主張するのは難しいので、社用車の使用記録を整備しておくことをおすすめします。\n\n## 第3位:飲食費の上限が2024年4月に改正された\n\n「接待交際費は1人5,000円まで」という運用をしている会社が多いですが、この上限は2024年4月1日から1人あたり1万円以下に引き上げられています。\n\n社長と取引先の2人で食事をした場合、合計2万円以下であれば全額経費として損金算入できるようになりました(中小企業の場合)。都内の接待では1人5,000円は厳しかったので、実務上の使い勝手がかなり改善されています。\n\nただし「会議費」として処理する場合は別のルールが適用されます。また、領収書に「誰と・何の目的で」を記載する習慣は変わらず必要です。改正を知らずに旧ルールのままにしていた会社は、今すぐ運用を見直してください。\n\n## 第2位:経営者保険は「経費になりながら資産も作れる」\n\n法人で経営者保険(生命保険)に加入すると、保険料の一部または全額を損金として算入できます。\n\n2019年の税制改正でルールが厳格化されましたが、役員・従業員を被保険者とし法人が受取人となる保険については、一定の条件のもとで損金算入が認められています。\n\n「節税だけのための保険」という時代は終わりましたが、解約返戻金を将来の退職金財源に充てるという出口設計ができていれば、依然として有効な手法です。商品ごとに税務上の取り扱いが異なるため、税理士と保険アドバイザーの両方に相談した上で選ぶことが重要です。\n\n## 第1位:役員社宅——これだけで年間100万円超の節税も\n\n5つの中で効果が最も大きいのが、役員社宅です。\n\n仕組みはシンプルで、会社が賃貸契約を結んだ物件に役員が住むというものです。会社が支払う家賃の約80%が法人の経費になり、残り約20%を役員個人が負担します。\n\n月30万円の物件であれば、会社が24万円を負担し、役員個人は6万円を払うイメージです。個人で30万円払っていた頃と生活水準は変わらないのに、年間で100万円近い節税効果が生まれます。\n\n役員の実質的な報酬水準を変えずに経費を増やせるため、費用対効果は非常に高い手法です。\n\nただし、住宅手当として現金を支給するだけでは経費になりません。あくまで「法人が賃借人として契約する」ことが条件です。また、面積や家賃に応じた自己負担額の計算式があり、過少な個人負担は給与として課税されます。導入前に税理士と設計を詰めてください。\n\n## 「知っていればできること」ばかりです\n\n5つ並べてみましたが、どれも特別な仕組みや高度な節税スキームではありません。\n\n自家用車の名義変更や役員社宅の契約切り替えは手続きが必要なので、タイミングを選びます。しかし「自分の会社で使えるか」を一度確認するだけなら、今日にでもできます。\n\n特に役員社宅は、家賃が高いほど節税効果が大きくなります。まだ検討していない場合は、今期の決算が終わる前に税理士に相談してみてください。\n\n※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。
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