先日、コンサルティング会社を経営している社長からこんな連絡が来ました。「インボイス登録は済んだんですが、消費税の納税額が以前より増えた気がして……」
この話、最近本当によく耳にします。インボイス制度への対応で手一杯になって、「登録さえすれば大丈夫」と思っている社長が少なくないんです。でも実は、登録した後にやることがあります。
インボイス登録後、消費税の計算方法を見直しましたか?
課税事業者になると、売上に含まれる消費税から仕入れや経費の消費税を差し引いて納税する「原則課税」が適用されます。これが基本の計算方法です。
問題は、サービス業やコンサル業のように仕入れが少ないビジネスモデルだと、経費に含まれる消費税が小さいぶん、差し引ける金額も少なくなること。結果として、売上の消費税をほぼそのまま払い続けるような状況になりがちです。
年商5,000万円以下なら「簡易課税」という選択肢がある
課税売上が年間5,000万円以下の会社は「簡易課税制度」を選ぶことができます。
簡易課税は、実際の仕入れ・経費の消費税を積み上げて計算するのではなく、業種ごとに決められた「みなし仕入率」を使って消費税を算出する仕組みです。
コンサルタントや士業などのサービス業は第五種事業に分類され、みなし仕入率は50%。つまり、売上に含まれる消費税の半分を仕入れとみなして差し引いてくれるわけです。実際の経費がいくらであっても、この割合で計算できるのがポイントです。
年商3,000万円のコンサル業で試算すると
具体的に数字で見てみましょう。
税抜き年商が約2,727万円、消費税分が約273万円のコンサルタントを例にとります。原則課税で実際の経費に含まれる消費税が少なければ、200万円近くを納税するケースもあります。
一方、簡易課税を選んでみなし仕入率50%を適用すると、納税額は約136万円前後に収まることも。その差は年間30万円以上になることがあります。
月換算で2万5,000円。決して小さくない金額です。
「事前届出の期限」だけは絶対に外さないで
ここが最も重要なポイントです。簡易課税は、申請すれば今すぐ使えるものではありません。
適用を受けたい課税期間が始まる前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を税務署に提出する必要があります。たとえば3月決算の会社が来期(4月〜)から簡易課税を使いたいなら、今期末の3月31日までに届出が必要です。
この期限を1日でも過ぎると、もう1年待たなければなりません。しかも、一度選択すると原則2年間は変更できないというルールもあります。メリットとデメリットをきちんと試算してから動くことが大切です。
まず「うちは得ですか?」と税理士に聞いてみてください
簡易課税との相性がいいのは、売上の大半が人件費や付加価値で構成されるコンサル・士業・IT系の会社です。逆に、仕入れが多い小売業や製造業は原則課税のほうが有利なケースも多く、一概には言えません。
インボイス登録のタイミングで消費税の計算方法まで見直した社長は、実はあまり多くありません。登録して終わりにしている方は、次の決算前に担当の税理士へ「うちは簡易課税のほうが得ですか?」と一度聞いてみてください。それだけで数十万円の違いが生まれるかもしれません。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。